錯視を利用して幻覚体験ができる!?
Youtubeで「Natural Hallucinogen」(自然の幻覚剤)で検索すると、下記ような多数の動画がヒットする。この動画は、“運動残効”と呼ばれる錯視の一種。これらの動画をしばらく見た後、別のものを見ると、動画内で図が動いていた向きとは逆向きに、現実で見たものが動く錯覚を体験できる。
スタッフで集まって運動残効の動画を検証したところ、多くの人間が気分が悪くなるなか、逆に気持ちがよくなる人間もいた。錯視で気持ちがよくなることは証明されたが、どのようなメカニズムでそうなるのか、専門家に尋ねた。
「運動残効は、アリストテレスが紀元前330年頃に見つけた、古くから知られる現象です。運動残効が起こると、脳のあらゆる部分が活性化するため、脳の活動を調べるためによく使われますね」とは、錯視と脳の関係に精通した大学教授の竹内龍人氏。つまり、運動残効を体験すると普段とは違う活発化が生じるため、個人差はあるが、気持ちよくなったり、逆に悪くなることが起こりえるそうだ。
「私たちが見ている世界は、目で見たものを脳が認識して生み出した世界になります。脳が生み出しているなんて、一般的には理解しにくいかもしれません。ですが、脳が作り出しているからこそ、脳の神経細胞が刺激されることで、違うものが見えたり、聴こえたりしてもおかしくはないんです」
カラフルな模様が意味もなく動き続けるサイケデリックな動画が脳に与える影響も基本的に同じだが、「色の変化が激しいぶん、白黒で作られた運動残効よりもインパクトが強くて危険だ」という。
「たかが動画で」と思うかもしれないが、1997年に社会問題になった“ポケモンショック”を思い出してほしい。この事件はアニメの中で、激しい光の点滅を断続的に放送したことが原因で発生。多くの児童が、頭痛や吐き気などを訴える光過敏性発作に見舞われた。
また、脳科学者の篠原菊紀氏によると、「幻覚体験に親和性の高い一部の人は、世界が変容する体験で気持ちよさを感じやすい」とのこと。該当する人は、運動残効のような錯視でトリップできる可能性があるが、くれぐれもポケモンショックのような、行き過ぎた動画を見ないようにご注意を! ※9/11発売の週刊SPA!「合法的に脳内麻薬を出す技術」より
【YouTube動画】http://www.youtube.com/watch?v=vzSRVgF501M
運動残効は、滝を長く見た後、近くの木々を見るとそれらが上に動く錯覚が見えることから、別名“滝の錯視”とも言われている。錯覚を引き起こす運動は、上下左右のどの方向でもよく、回転運動でも起こるので、多種多彩な動画がある 。<取材・文/黒田知道 柴崎卓郎 イラスト/テラムラリョウ>
運動残効は、滝を長く見た後、近くの木々を見るとそれらが上に動く錯覚が見えることから、別名“滝の錯視”とも言われている。錯覚を引き起こす運動は、上下左右のどの方向でもよく、回転運動でも起こるので、多種多彩な動画がある 。<取材・文/黒田知道 柴崎卓郎 イラスト/テラムラリョウ>
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