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通りがかりのグループにケンカをけしかけられ別の事件の犯人に

通りがかりのグループにケンカをけしかけられ別の事件の犯人に

南砂傷害事件
’10年1月23日午前3時過ぎ、東西線南砂町駅前の路上で30代の男性と40代の女性が暴行を受けたとの被害届けが出された。1月29日に犯人として逮捕されたのはAさん(24歳)。さらに2月11日にもう一人Bさん(24歳)が逮捕される。しかし、この事件はBさんが人違いで30代男性を4~5発殴ったもので、Aさんはその場にはいないと主張していた。ところが、Aさんには一審、二審ともに懲役1年の実刑判決が下された。

 AさんとBさんは’10年1月23日深夜、南砂町駅前の居酒屋でAさんの彼女らと4人で飲んでいた。

 当初は和やかに飲んでいたものの、午前3時頃、彼女と口論になったAさんが彼女と2人で表に出た。そこで通りがかったグループにからかわれてケンカをけしかけられる。2人は凄まじい暴行を受けた。彼女も殴られAさんも腹を蹴られたので、飲んでいた居酒屋に戻った。

 流血している彼女を見てびっくりしたBさんは、仕返しのために店を飛び出した。しかし、そこを偶然歩いていた30代男性を間違えて殴ってしまう。

 そしてその事件から1週間ほどたった1月29日、Aさんは傷害事件の容疑者として逮捕されてしまう。当初はそのケンカのことだと思っていたのだが、「30代の男性と40代の女性に暴行を加えた」という、まったく違う事件での逮捕だった。

身に覚えのない事件の容疑者に

 30代男性は「2人組の男にいきなり暴行を受けた」と証言、「後頭部を鈍器のようなもので殴った後、馬乗りになったりサッカーボールを蹴るような感じで私の顔を殴ったりし、合計100発以上殴る蹴るの暴行をしてきた」との被害届を出した。また、30代男性と一緒にいた40代女性も、かばおうとして蹴られたり投げられたりしたという。

 身に覚えのないAさんは「その男女に対して暴力は振るってない」と容疑を否認。その後、実際に男性を殴ったBさんも逮捕され、「自分一人で間違って男性を殴った」と証言。犯行が行われたと思われる時間に現場付近で帽子を探していた女性は「殴り合いや蹴られている様子はわからなかった。叫び声なども聞こえなかった」と証言している。

 また弁護側はBさんが午前3時5分49秒に携帯電話をかけていて、被害男性からの110番通報が午前3時7分(のちに3時7分10秒と判明)という記録から、犯行時間はせいぜい1分しかなく、被害者の証言内容のような暴行を加えることはできないと、被害申告に対しても「オーバーであり、信用できない」と主張した。

暴行されたはずなのに懲役1年の実刑に

 しかし判決は、Bさんの証言も第三者である女性の証言も退け、2人で襲ったのだと断定。懲役1年の実刑だった。暴行の程度については「ややオーバーに申告してしまうこともあながち理解し難いことではない」とし、「被害者の供述と相容れない被告人(Aさん)とBの供述は信用できない」「被告人をおいてそのような人物はいない」と、被害者に理解を示した。

 2月10日には控訴審の判決があったが、これも棄却された。判決では、救急車の到着時刻や暴行の内容さえ変わってしまっていた。Aさんはすでに1年近く勾留されているが、今も無罪を訴えて上告している。Aさんはこう語る。

「裁判は都合の悪いことには一言も触れません。私の犯行の動機、第三者の証言、客観的証拠には全く一言も触れていません。初めから私を有罪と見ていたとしか思えません」

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事件の起きる前にAさんらが飲んでいた、南砂町駅前の居酒屋を案内するAさんの母(左)。
息子の無実を訴えている


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