[世界の選挙]あの国この国の選挙事情
―[[世界の選挙]ビックリ!白書]―
候補者の名前連呼、お決まりの選挙ポスターばかりが目立つ日本の選挙。じゃあ世界の選挙はどんな感じなの? というわけで、各国大使館や在日外国人、現地在住日本人に各国の選挙事情を聞いてビックリ! 選挙権年齢はもちろん、投票方法、投票率、選挙運動も日本とは全然違うのだった。これを読めば、アナタも選挙に行きたくなるはず!
まだまだ気になる あの国この国[選挙事情]
◆スウェーデン
政治と税制が密接に関わっているのがスウェーデンの特徴だ。選挙時も税務署が大きな役割を果たす。「選挙名簿の原本は税務署が管轄し、投票日には国税庁の地方出先機関が出口調査をして国税庁に報告。スウェーデンは比例代表制ですが、結果が確定したら国税庁が得票数に応じて各政党の議員数を割り振ります」(社団法人スウェーデン社会研究所長・須永昌博さん)。外国人も居住3年で選挙権が得られる。
さらにユニークなのは選挙運動で、
「駅前などに各政党が小屋を建てて、議員が訪れた有権者とディスカッションをするんです。コーヒーやお菓子が出てくることもあります」。日本のような街宣はナシ。おまけに投票率が90%というんだから恐れ入ります。
◆タイ
政党や候補者に割り振られた番号の横のマス目に×をつける投票形式のタイの選挙。よって、ポスターでも番号が目立ち、「選挙カーが音楽を流しながら候補者名と番号を連呼して回る」(ブログ「いたたた…タイ」の迷えるオッサンさん)とか。「買収や接待など何でもあり。候補者の自宅でストリップショー・お土産(金券)付きの大宴会が開催されるというので誘われたこともあります」とは、うらやましい!?
が、一方で「投票日の前日18時以降と当日は酒類の販売が禁止されます。買収や暴動防止の意味もあり、3人以上の集会も禁止です」(タイ情報誌『ワイワイタイランド』のタイ人スタッフ)と厳しい面も。仏教の国らしくお寺が投票所になることもあるが、「出家すると選挙権を失います」(同)とは、不思議なような、納得なような。
◆フィリピン
フィリピンの選挙は派手&騒々しい。
「陽気なメロディに候補者の名前を乗せて連呼する歌を大音量で流しながら、選挙カーを朝から晩まで走らせます。ブラスバンドと支援者によるパレードや歌謡ショーを開いたりもしますね。ポスターは貼り放題で、相手候補者のポスターの上から貼るのも当たり前。また、有権者が候補者の自宅や選挙事務所へ顔を出すと、食事の世話をしてくれたり、現金をくれたりもするので、町中の景気がよくなります。一種のお祭り状態ですね。その一方、相手候補を殺してしまうほうが選挙費用を安く抑えられるので、選挙絡みで殺人も起きるんですよ」(フィリピン在住の日本人でブログ「海外・気まま暮らし、マニラ・ソウル・香港」管理人氏)
実際、’02年の選挙では75件、’07年は23件の殺人事件が発生。うっかり選挙時期に渡航したらヤバいかも!?
◆ネパール
’90年代初頭の民主化後、不安定な政情が続くネパールだが、その選挙は投票方法がユニーク。投票用紙に各政党のシンボルマークが印字されていて、有権者はいずれかに○をつけるのだ。
「国全体では識字率が35~40%と低く、山奥になるとほとんど文字が読めない人もいるからです」(ネパール事情に詳しい旅行会社・ヒマラヤ観光開発)。
古い政党は結党当時からのマークを使っているが、新規政党などは選挙管理委員会が用意したマークのなかから選ぶのだとか。こうした投票方法のせいか、「選挙戦ではマニフェストを訴えるよりもマークをPRしている感じ。山間部では路傍の岩にペンキでマークが描いてあったりします」って、暴走族の落書きじゃないんだから……。
― [世界の選挙]ビックリ!白書【11】 ―
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