更新日:2012年11月05日 20:17
デジタル

話題の電子書籍ストアを比較してみた

 2010年に「電子書籍元年」と呼ばれてから2年が経ったが、電子書籍はいまだ一般的な存在にはなっていない。しかし、2012年後半、大型電子書籍ストアが続々と登場し、再び熱い注目を集めている。7月に楽天の「koboイーブックストア」、10月24日にドワンゴの「ニコニコ静画(電子書籍)」、10月25日にAmazonの「Kindleストア」、これらのストアがオープンした。この3ストアが電子書籍の普及を加速していくのか? また、3ストアはどの様な違いがあるのか? 現時点での情報をもとに比較してみた。 ⇒比較表はコチラ(https://nikkan-spa.jp/319904/3hikaku) 電子書籍ストア◆ 会員IDを大量に保有している  まず、今までの電子書籍ストアとの大きな違いであり、3ストアの強みとなるのが、クレジットカード情報が登録された会員IDをオープン時に大量に獲得している点だ。ユーザーは会員IDとパスワードを入力するだけで、すぐに購入できる。  KindleはiOSアプリから直接購入できない点に不満は残るが、Appleによるアプリ内課金以外の決済排除という方針が変わらない以上しかたがない。ブラウザ経由でPC用向けページから購入することができるが、やや手間を感じる。PC・Android端末からは閲覧と購入が同アプリ内で可能だ。  Koboは、PC・専用端末の「Kobo Touch」にて購入・閲覧が可能。楽天スーパーポイントが利用できるのも大きい。Androidは近日対応予定であり、スタートすれば普及が加速しそうだ。iOS対応については未定。  ニコニコは、PCとiOSで決済手段が異なる点が特徴。PCではニコニコポイントで決済可能だが、iOS端末からはアプリ内課金で「ニコ書券」と呼ばれる金券を500ptから購入しなければならない。ユーザーの利便性を考えればアプリ内課金ができる点は大きいが、ニコニコ動画のプレミアム会員などすでにニコニコポイントを日常的に使っているユーザーにとっては、課金ハードルが逆に高くなってしまいそうだ。Androidにも対応予定。 ◆ 作品数の違い  既存の電子書籍ストアと比較して、3ストアの取り扱い点数はどうだろうか。「紀伊國屋書店BookWeb」は約5.8万点。koboのみ、青空文庫など無料本1万点があったり、「水増し」疑惑が指摘されているものの約5.5万点となんとか互角と言える。Kindleは洋書の点数は大きくリードしているものの、和書についてはやや少なめ。ニコニコも同様だ。しかし、ユーザーにとって肝心なのは読みたい本が、買いたい価格で置いてあるかどうか。Kindleは無料本に加えて洋書の充実、koboはベストセラー作の充実、ニコニコはコミック・ライトノベルの充実など、それぞれ強みを持っている。 ◆ 価格の違い  すでにいずれかのIDを持っている場合、よく使うIDで利用するのが最もスムーズだが、頻繁に利用することを考えると、気になるのは価格だ。  Kindleは、洋書を含めれば最も無料本の数が多い。さらに、紙版と比べて40%オフの作品など、安めの価格に設定されている作品も多い。koboは、楽天スーパーポイントを利用できる点が大きい。ショッピングなどで貯めたポイントで購入、さらに電子書籍購入時もポイント付与(1%)、10倍キャンペーンなども実施されているので、ポイント派にとっては購入しやすい環境になっている。ニコニコは、期限付きのレンタルで割安になっている作品や、100円作品(コミックの1巻や特別編など)、無料コミック雑誌が充実しており購入しやすい。 ⇒ どのストアを使う? ストアごとの特徴を紹介
https://nikkan-spa.jp/319617
電子書籍ストア

Kindle・kobo・ニコニコ、どのストアがよいのか?

 3ストアを比べてみると、それぞれの既存ユーザーに合わせた作品ラインナップや価格帯、販売形態が工夫されていることがわかる。いずれかのIDをすでに持っている方は、これを機にストアをのぞいてみてはいかがだろうか。 <文/林健太>
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