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体調不良者続出!? 節電目標15%の本末転倒

「節電の夏」真っただ中。ガンガンにクーラーの利いたオフィスでデスク仕事に集中……なんて、当然できやしない。東電管内では15%の電力削減が企業の利益に優る大命題。節電目標をクリアできなければ、1時間あたり100万円以下の罰金(大口使用者)が課されるのはご存じの通りだ。そして、ついに7月20日には関電管内でも政府から10%の節電要請が出された。

当然、企業は節電に躍起だ。

30%の節電目標を掲げるソフトバンクが全社員にiPadを支給してピーク時のパソコンの使用を控えているのは正直、うらやましい節電事例。静岡県が職員に「昼寝」を奨励……なんて話も同様だ。

大半の企業は涙ぐましい努力に励んでいる。「3階分の移動だったらエレベーターを使わず、階段を利用するよう言われている」(メーカー・32歳・男性)とか、「営業隊は10~16時までは社内完全消灯」(生保・29歳・女性)といった話は枚挙にいとまがない。

密かに避難訓練ならぬ「節電訓練」を実施していた企業も。某保険会社に勤めるOLが話す。

「『節電訓練を開始します。使用可能電力に対する使用率が95%を超えました』というアナウンスが流れた後に、メールが届くんです。『コンセントを抜いてください』とか、細かい指示が描かれていました。それを確認して、社員全員で片っ端からパソコンをシャットダウンしたり、電気を消したり、コンセントを抜いていく。一通り作業が終わって30分後に『みなさんの節電取り組みの結果、使用電力が一時的に○○kw下がりました』と再度アナウンスが流れるんです」

この会社では福島原発以降、新たに「節電責任者」「節電キーパー」というポストが作られたという。社員に配られた資料によれば、彼らの指示に従って、(1)使っていない会議室・トイレなどの照明を消す、(2)ノートPC・携帯電話などは半分程度のコンセントを抜いてバッテリー運転に切り替える、(3)低層・中層・高層のエレベーターを1基ずつ停止させるのだ。が、この節電エキスパート、時に疎まれる存在なのだとか。

「節電のためにパソコンの液晶の明るさを落とせと言われたので、熱くて暗い部屋で暗い画面を見て仕事をしていたら、事務のコが一人体調を悪くしてしまったんです。仕事の能率が落ちるのは仕方がないにしても、体調を壊す人が出るような行き過ぎた訓練に不満を漏らすコもいました」

「節電の夏」を乗り切るのに必要なのは、結局、気合と体力かも……。

取材・文/池垣完




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