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「アニメ好きも結局仕事になった」T.M.R西川貴教の仕事術

 ソロアーティスト・T.M.Revolutionとしての活動のイメージが強かった西川貴教さん。しかし、今やバンド活動、ラジオのパーソナリティ、演劇、CM出演、チャリティー活動の立ち上げ人、会社経営者など、様々な顔を持っている。「まるまる1日休みになることはない」という超多忙な西川さんの仕事観に迫った。 ⇒T.M.R西川貴教の仕事術「語ることに延長に歌がある」【2】はコチラ
https://nikkan-spa.jp/352460
◆好きなことが仕事として結実する喜び、悩み ――複数の仕事をやっておくとアイディアが有効活用できるということですね。仕事の広げ方は他にはどんなものがありますか? 西川貴教西川:いろいろな活動をしていますが、隙間の時間には、大好きなアニメを見たりしています。僕は本当にアニメが好きで、ずっと純粋に、趣味としてアニメを見てきました。毎シーズン追いかけたり、好きなものはDVDで買ったりしていたのですが、「好きだ!」と情報発信していたら、文化庁から「アニメミライ」という企画の広報大使の仕事の依頼が来ました。  このような仕事を受けると、現在人気のアニメや「振りきれている」と評判のアニメに対して鋭敏でなくてはいけません。いやがおうでもアニメの最新事情に追いつかなくてはいけなくなってしまいました。これこそ趣味も結局仕事になってしまう、という例ですね。  同様に着るもの、身につけるものもそうなんです。趣味が高じて自分の衣装やコスチュームなどもデザインするようになりました。もともとデザインは好きで、かじっていたワケですが、スタッフにちょいちょい提言していたら「じゃあ自分でやりなさいよ(笑)」と言われ、本格的に取り組むきっかけになった。  しかし、自分でいろいろやるようになって悩みも出てきました。全部自分でまわしていくと、結局周りが指示待ちになってしまうんですよね。たとえば、会議で衣装の打ち合わせする予定になっていたとしましょう。でも、周りは「西川さん、さぁ、何か出してください! よろしく!」というスタンスになってしまいます。自分が意見を出しまくったゆえに招いた弊害ですが、やはり皆でブレストというか、意見を出し合い、集約していくのが一番かな、と思っています。 ◆アイディアは複数もつ ――フリーランスのなかには、仕事が来ないと悩む人がいますが、なぜ、彼らには仕事が来ないのでしょう? 西川:ひとつがダメだったときに、それに代わる引き出しがどれだけあるかがカギでしょう。引き出しがないと、相手から「面白くない」と言われた時に代案が出せないんです。「面白くない」と言われた瞬間に別の引き出しを引き、「その要素を足せば面白くなる」と考えられたら、一度ダメ出しした相手でも採用してくれることもあります。  一方向でのアイディアはダメ出しされると、もう終わり。それに対する知識が足りないから、次がないのです。相手との会話の中から、相手の方向性を察知することも重要です。それができれば、「ということは、Aを削ってBを入れればいいんじゃないの?」といったふうに、選択肢ができるようになり、二の手、三の手が打てるようになります。  僕は斬新なものをいくつもストックしてるわけではありません。しかし、別カテゴリーのアイディアは常に用意するようにしています。一つのアイディアが通らなかった時に、信じるものや、変えたくないものは死守しつつも、「ここは譲れるな」とか「ここを変えても芯になっている部分は変わらない」と思えたら、それはそれでいい。  大事なのは、中心に何があるか、どんな人に何を伝えようとしているのかがブレていないことなんです。赤い服を推していたのに、オレンジの服に決まった――それが核ではなく周辺部であれば、頑なにならなくても良いのでは。 「誰に何を伝えようとしているか?」をしっかり持てているかが重要です。それがぼんやりしていたら、アイディアは的外れなものになり、プレゼンにハートや情熱が伝わらなくなります。 ※T.M.R西川貴教の仕事術【4】「あのCMに出演した理由」に続く
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【西川貴教】 1970年9月19日、滋賀県生まれ。1996年、ソロプロジェクト「T.M.Revolution」としてデビュー。その後「HIGH PRESSURE」「WHITE BREATH」「HOT LIMIT」「ignited」「vestige」「Naked arms」など、ヒット曲を連発。2005年、自身がフロントマンを務めるバンド「abingdon boys school」がデビュー、2008年には「滋賀ふるさと観光大使」に就任し、翌年地元滋賀県にて大型野外ロックフェス「イナズマロックフェス」を4年連続主催するなど、その他司会・俳優など幅広い分野にて精力的に活動を展開している。2013年1月1日,2日には、4度目となる正月のT.M.Revolution日本武道館公演「T.M.R.NEW YEAR PARTY’13 LIVE REVOLUTION」を行う。 <取材・文/中川淳一郎 写真/CHIEKATO(CAPS)> ― T.M.R西川貴教「仕事術」を語る【3】 ―
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