仏教国タイのバレンタインデー。日本との違いは?
人口の95%が仏教徒であるタイにもバレンタインデーはやってくる。
ただし、日本と様相は違い、街がバレンタイン一色にはならない。特に今年は中国の春節(旧正月)と重なっているため、デパートなどで開催される催し物もほとんどが春節向け。タイもほかの東南アジア諸国同様のため、春節に重なった今年はほとんどバレンタインの雰囲気はない。
とはいえ、イベントごとには敏感な10代20代の若者たちは積極的にバレンタインを楽しむ。
ただ、タイのバレンタインデーでは、女性から男性にプレゼントするというよりも、むしろ男性から女性へという方が多く、モテない男にも辛くないのはいい。ちなみに、当然のことながら「義理チョコ」なんて風習も存在しない。基本的にはタイのバレンタインデーは、恋人や夫婦同士といったステディな関係の中でしかやり取りされない。
OLのゲートさん(27歳)は昨年、同じ職場の「イイ関係」になりつつある男性からぬいぐるみをプレゼントされた。まだ恋人関係ではなかったものの、この男性はゲートさんを落とせると踏んだのだろう。ゲートさんも「サイコー!」なんて喜んでいたのだが、彼女はその2か月後に退職し、現在は違う男性と付き合っている。恐ろしや。
話しを戻そう。
タイのバレンタインデーが、日本のそれと何より違うのが、渡すものがチョコレートではないところだ。
タイ式バレンタインのプレゼントの主流は花。特にバラが多い。花を売る行商が都心の各所に現れ、一輪から売ってくれる。ちなみにバラは基本的にはトゲを取って売っているが不精な行商だとそのままということもある。数年前のバレンタインデーで筆者はとあるディスコにて、カップルがケンカになったのを目撃。男性が自分で渡したと思しきトゲ付きのバラの花束でボロボロに殴られていた。
とはいえ、タイにもチョコレートやキャンディー、もしくは誕生日やクリスマス同様のプレゼントを渡す人もいないわけではない。
おそらくタイで、「バラ以外のプレゼントを贈るバレンタインデー」を積極的に推す店は、日本の雑貨チェーン「LOFT」であろう。毎年バレンタインデーの1週間くらい前から放課後の時間帯に制服を着た中学生から大学生(タイは大学生も制服を着る)、会社員まで、若者がごった返してプレゼントを物色している。今年はロフト協賛のショッピング・コンプレックス主催で14日まで、21人の占い師を集めて、恋の行方を占っている。
春節に隠れてしまう今年のタイのバレンタインデー。果たして今年はどのようなことになるのだろうか? <取材・文・撮影/高田胤臣>
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ