“海なし、直行便なし”のラオスでも日本食ブーム到来中
社会主義国のラオスのTVは、主に隣国タイの番組をリアルタイムでそのまま放送している。それゆえ、タイでブームになっていることがダイレクトに伝わってくるのだ。そんな中、最近はバンコクの和食ブームがビエンチャンに伝播してきているようだ。
2013年2月現在、ビエンチャンで営業する日本料理店は15、6軒ほど。
たったそれだけ? と思うなかれ。そもそもラオスの在住日本人は554人しかいない。タイの49,983人と比べると雲泥の差だ(共に外務省発表の平成23年10月時点の在留届提出者数)。
つまりはラオス人からの需要が増えているのは間違いないと見ていい。
ビエンチャンで最初の日本料理店は「古都」という、日本人の奥さんを持つラオス人が経営する店で、13年ほど前に開店した。たった13年とはいえ、つい最近までビエンチャンは信号すら1つ2つしかなかったような町だった。2011年にラオス証券所がオープンし好景気に沸くビエンチャンだが、それ以前は夜になれば人っ子ひとり歩いていないようなところで続けてきたというのはすごい。
ビエンチャンとタイの間を流れるメコン川沿いは好景気に湧くビエンチャン最大の繁華街に店を構える「大阪ハックチャオ」という日本食食堂の経営者、Iさんもまた12年前とかなり早い段階に開業した一人。12年前は、まだ食材などが手に入りづらかったため、ラーメンなどは自家製麺、大阪人ながら納豆も自作するスタイルで開業した。今でもそのスタイルで営業中だ。
「今でもできるだけ現地の食材を使っていますが、一般的な量産の食材は隣のノンカイ(ビエンチャンに隣接するタイ領の町)、和食専門の食材はバンコクから仕入れています」
ラオスは海も日本からの直行便もなく、現在でも食材がなかなか揃わないのはちょっとしたハンデになる故、それなりに苦労があるのだ。
ではなぜ日本人もさほど多くなく、食材も入手しにくいラオスで日本料理店が増えてきたのか? それはラオスの好景気が一因だ。
好景気のビエンチャンでは二束三文だった土地が日本円で数千万円以上の値が付くほど上昇したため、土地成金が急増。とにかく金があるので、タイのTVを観て物珍しさから和食に飛びつく成金たちが現れたらしい。その結果、ブームだけで終わらず「ラオス人の和食に対する親密度は上がってきた」(Iさん)のだ。
しかし、ブームに便乗して店が増え続けると淘汰が始まるのは必至。ラオスの日本食店に関わるある日本人は語る。
「15軒くらいある日本料理店の中でIさんの店のような食堂系は日本人による経営が多いけど、内装に凝った高めの店はラオス人オーナーで客もラオス人が多い。そういう店は料金の割にあまりパッとしないんだよね」
タイでは小規模店から潰れていくが、ビエンチャンでは逆の現象になるかもしれない。今後、ビエンチャンの和食ブームはどう展開されていくのだろうか? <取材・文・撮影/高田胤臣 取材協力/大阪ハックチャオ>
髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中
髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中
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