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110番通報増加の要因は「寂しい人が増えている」から!?

◆カンタンに行われすぎる通報がなくならないジレンマとは?

北芝健氏

北芝健氏

 道を聞く、目が合う、自転車で追い抜く……ごく普通の行動が通報され、警察の安全情報に掲載されてしまう事態が多発している。そんな昨今の状況について、元公安警察捜査員で作家の北芝健氏は、複合的な要因があると話す。

「携帯やネットで手軽に通報できるようになったのはもちろんのこと、国民の権利意識が欧米のように拡大し、国家権力に対する畏怖が昔ほどではなくなったことが挙げられます」

 警察は、納税者がタダでこき使える安全ツールであるという意識が肥大。そこに生活の孤独が加わり、くだらない通報に繋がると北芝氏は指摘する。

「警察に相手にしてもらうことで、寂しさを解消しようとする人が増えている。現代における人間関係の希薄化が原因です。さらに、日本が今や世界一のチャイルドポルノ大国であるが故に、親のロリコン犯罪者への警戒心が異様に強いことも要素の一つでしょう」

 また、犯罪ジャーナリストの響波速人氏は、メディアの影響も指摘する。

「ネットで凶悪犯の顔写真などがいつでも見れる状態だし、近年は頻繁にテレビで『警察特番』が組まれ、犯罪者の逮捕前の行動パターンを流すことが多い。そこから得た“不審者像”に合致した人物を怪しいと決めつけ、過敏に通報している傾向が見受けられます」

 そんなことで通報される側である警察も、たまったものではない。だが響波氏は「有益性は少なからずある」と話す。

「’06年に起きた大阪28人連続強姦事件が良い例です。犯人は事件で逮捕される2年前にマンションの様子を外から見ていただけで通報され、その場で建造物侵入容疑で取り調べを受けたが結局、略式起訴の罰金10万円だけで済んだ。その時、ちゃんと逮捕していれば後の事件は防げたでしょう。さらに昨今はオウム事件の平田信を門前払いしたことで猛批判を受けたため、通報に敏感になっている」

 とはいえ、通報の増加が治安の改善に直結するわけではない。少なくとも、無実の人間が巻き込まれることだけは避けたいものだ。

【響波速人氏】
犯罪ジャーナリスト。数々の有名凶悪犯罪事件を精力的に取材している。『本当にあったとんでも犯罪200連発』(オークラ出版刊)などを監修

【北芝 健氏】
作家、元警視庁刑事、日本経済大学大学院講師。警察・治安から健康問題まで幅広く活動。新著に『犯罪にねらわれる子供たち』(メディア・パル刊)

取材・文/SPA!ポリスパニック研究班
― 片っ端から警察に通報する人々の異常な論理【4】 ―

犯罪にねらわれる子どもたち (北芝健 犯罪学シリーズ)

凶悪な犯罪から子どもや家族を守る方法を解説

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