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歌舞伎町で流行「殴られ恐喝」の恐怖…“示談金”30万円払った被害者も

 社会問題にまでなった繁華街のぼったくり。取り締まり強化によって被害は減少したが、それも束の間。じわじわと新手の恐喝被害が発生しているという。 殴られ恐喝の恐怖

些細なトラブルで30万円払う被害者も

「挑発して自分を殴らせ、“示談金”という名目でカネを巻き上げる。言ってみれば“殴られ恐喝”です。私の友人Aは示談を拒否したために被害届を出され、留置所に入るハメになりました」  そう話すのは、野上裕太氏(仮名・39歳)。取材時点で友人Aさんの勾留からは2週間がたっているという。野上氏はAさんが巻き込まれた状況をこう再現する。 「会社の飲み会帰りに一人で歌舞伎町を歩いていたら、人けのない路地裏で突然知らない男にケンカを吹っかけられたんです。最初は無視していたものの、あまりにしつこいので手で押しのけてしまった。すると相手は『殴ったな! 30万円払え!』と……」  さらに事態は急速に悪化する。 「それまで閑散としていた路地裏に、『殴ったのを見ましたよ!』とゾロゾロ“目撃者”が飛び出してきたんです。『待ってました!』と言わんばかりに……」  多勢に無勢の状況なうえ、話の埒が明かないため、Aさんは相手と交番に。しかし、有利なのは、“目撃者”のいる相手側だった。 「『目撃証言のほかに証拠もなく、被害届を出されたら、逮捕せざるをえない』と。『最近、意図的にケンカを吹っかけられたようなトラブルは多い』と警察官には同情されたそうですが……」(野上氏)  まさに四面楚歌。結局、Aさんは示談を拒み、相手は被害届を提出。逮捕され勾留中だ。刑事事件では勾留から最大20日で起訴か不起訴か決まるため、現時点で結末は不明だが、裏社会の事情に詳しいライターは、こう解説する。 「被害届が受理された以上、弁護士経由で示談を持ちかけても、相手は引き下がらない。ヤクザ絡みの集団なら、『30万円でどうですか』と提案しても、『その倍で話だけは聞いてやる』と金額を釣り上げてくるでしょう。勾留後17~19日目あたりが山場になるはずです」 「押しのけたのは事実。先に手を出したのが悪い……」と思う方もいるかもしれない。しかし、“殴られ恐喝”では、些細なことが大事に繋がってしまう。
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体が触れていなくても恐喝される場合も…
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