猿の頭に矢、隣人を撃つ…洋弓銃「クロスボウ」悪用事件が続発。規制は必要か
日本でも殺傷能力の高い“武器”が平然と売られている。ネットを開けば、それを使った「過激な動画」が溢れている。もし、隣人が所持していたら?
頭に矢が刺さった状態の猿が発見される――。
今年6月、各メディアにはこうしたセンセーショナルな見出しが躍った。
使用されたのは、矢を飛ばす洋弓銃の「クロスボウ」(いわゆる「ボウガン」と同じもの。前者は一般名詞、後者は株式会社ボウガンの商標名)で、日本では競技用としても流通しているものだ。
このクロスボウが悪用される事件が増えている。下の表にもあるように、最近では今年1月、大阪府泉大津市の焼き肉店でリンチ事件があった。その際に使用された武器は、時速100kmでつまようじが発射されるタイプのクロスボウ。アルミ缶を突き刺すほどの威力だった。
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’05年9月/和歌山市内の高速道路で、走行中の車が改造エアガンから発射された金属銃弾で銃撃される。これを契機にエアガン規制が始まる
’10年2月/横浜市の路上で、男子高校生がクロスボウで顔を撃たれ、近くに住む無職男性が傷害容疑で逮捕される。自宅の2階から約15cmの矢を放ち、自転車に乗った生徒の顔を直撃
’13年3月/川崎市で、19歳の少年がアパートの室内でナイフとクロスボウを使用し、同居していた母親を殺害。クロスボウは母親を殺害する目的で’12年秋にインターネットで購入していた
’15年4月/茨城県取手市の路上で30代無職男が自転車走行中の男性に向けてクロスボウを発射、右脚に矢が貫通。懲役12年6月の判決
’15年8月/愛知県武豊町で新聞配達員の男性がクロスボウで胴体を撃たれるなどして重傷を負った。元同僚の男が逮捕される
’15年10月/福岡県行橋市で指定暴力団組員の男性らが知人の少年の胸をクロスボウで撃ち、殺人未遂容疑で逮捕される。少年が受けた矢は肺にまで達し、3か月の重傷
’15年11月/大阪府八尾市で「受験勉強をするのに犬がうるさい」と、医学部志望の40代無職男が、隣人宅の窓に向けてクロスボウを発射し逮捕される
’16年9月/東京都立川市のアパートにクロスボウを持った男が立てこもり、およそ3時間半後に公務執行妨害(警察官に向けてクロスボウを構えた)疑いで現行犯逮捕される
’16年10月/栃木県宇都宮市中心部で連続爆発事件が発生。72歳の元自衛官の男が自作の爆弾を体に巻きつけ、それを起爆させて自殺。通行人3人が重軽傷を負った
’17年12月/東京都江東区の富岡八幡宮で女性宮司ら3人が、実弟の元宮司に日本刀など刃物4本で切りつけられ死傷。元宮司は3人を殺傷したあと、日本刀で自殺した
’18年1月/大阪府泉大津市の焼き肉店オーナーらが従業員男性への傷害容疑で逮捕される。暴行の際、弓矢のような玩具「つまようじクロスボウ」で大量のつまようじを顔に突き刺すなどした
’18年6月/滋賀県彦根市で頭に矢が刺さった野生の猿が発見される。猿を捕獲目的のクロスボウによる犯行で、鳥獣保護法違反容疑で男性が書類送検。猿は衰弱していたため安楽死の処置が取られた
’18年8月/愛知県の大学生が、爆薬「TATP(過酸化アセトン)」や「ETN(四硝酸エリスリトール)」を製造したとして爆発物取締罰則違反の容疑で逮捕
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クロスボウは規制困難。爆弾も簡単に造れる時代
最近の“武器”による事件
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