鴻上尚史、ロンドンでスリに…一文無しになるもTwitterが繋ぐ輪で助けられた話
― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
いやあ、大変な目にあいました。ロンドンでサイフを盗まれて、いきなり一文無しになりました。人生、いろんなことが起こります。
東京で仕事を詰め込みすぎて、ロンドンで疲労のピークになり、風邪もひき、少しぼーっとしながら、ケンジントン駅を歩いてたんですね。
オイスターカードという、スイカみたいなカードをサイフから出して、改札をタッチして通りました。
数歩進んで、バッグのチャックが開いていることに気付きました。
リュック型のバッグで、半分だけ肩にかけていました。すぐに、バッグの中を見ると、サイフがないのです! どこを探してもないのです!
瞬間的に背中が寒くなりました。
サイフの中には、キャッシュカードとクレジットカード2枚、現金全部が入っていました。
それを一度に奪われました。
いきなり、僕はロンドンで一文無しになったのです。いやもう、脳がショートしましたね。
そんなバカなとか、スリの腕前凄すぎるだろとか、いろんな思いがぐるんぐるんしました。
正確には、両替したポンドを入れた封筒と、日本円とカードを入れた小さなサイフの二つを、バッグの中に入れていたのですが、スリは両方を見事に盗んでいったのです。
手持ちは、ポケットに入っている小銭とオイスターカードだけでした。
すぐに、ツイートしました。いやもう、どうしようと思ってね。
ぐるんぐるんのロンドンでスリにあって一文無し地獄で仏事件
すると、『トッカン』などの作品で知られる小説家、高殿円さんが、「鴻上さん、私、すぐ近くにいるよ!」と返信をくれました。いやあ、まいった!風邪気味でボーッとしていて、ケンジントン駅で財布をすられてしまった!クレジットカードとキッャシュカッードと手持ちの現金、全部、取られたー!いきなり、一文なしになっちまったぜ。どうする。さあ、どうすんだ、俺!?いきなりドラマチックだぜい。
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) 2018年10月27日
その昔、『トッカン』を2時間TVドラマにする企画があって、僕がシナリオを担当していたのです。 自分以外の作品では、初めてシナリオ化しました。なおかつ、シナリオは書き上げたのに、大人の事情で作品にはなりませんでした。 と、いろんな意味で思い出深い高殿さんが助けてくれるというのです。鴻上さん!!私今近くにいるよーー!!
— 高殿円@11/2『戒名探偵 卒塔婆くん』発売! (@takadonomadoka) 2018年10月27日
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