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ギリシャ問題は収拾してない!? 本当の欧州危機はこれからだ【後編】

◆マネーな人々 今週の銭格言 【選者】現役金融マン ぐっちーさん ようやく合意を見たギリシャ救済案。他の国に同じことが起きたときに肩代わりさせられるのを嫌がったドイツ、フランスが合意を引き延ばしたせいで、イタリア、スペインまで危なくなり……欧州は大ピンチ! ◆ギリシャショックは、完全にイタリア、スペインに飛び火。本当の欧州危機はこれからだ ←前編はこちら 今回IMFと共に救済融資の中心となるのがESFS(欧州通貨安定化基金)。この基金、実態はCDO(証券化証券)でして、いわゆるファンドになっています。出資者はギリシャ救済をする欧州の国々で、それらの国の国債を資産としてESFSが債券を発行。これを日本、中国などが購入することで資金調達をしようとしていました。  ところが、先週ESFSのさる高官が「実はイタリアとスペインは基金に出資する資金余力がなく、ギリシャ救済が開始できない」とウォールストリートジャーナルの記者に漏らしてしまった。救済に回るべきイタリアとスペインが出資金すら出せない。当然市場は真っ青。これがユーロ急落、スイスフラン、円暴騰の真犯人です。  既にイタリア国債の10年債スプレッドは374BPを超え、6.18%。スペイン国債も393BPを超え、6.36%とギリシャショック時の最安値をひたすら更新中。  ギリシャがどうのと言っているうちに、完全にイタリア、スペインに飛び火してしまいました。せいぜい1500億ユーロ程度あれば当面の救済が可能なギリシャとは違い、イタリアは欧州第4位の経済規模の国です。欧州だけで救済できないのは当たり前で、日本、中国が加わっても救済しきれないかもしれない……恐怖すら感じるスケールです。  案の定、7月28日に行われたイタリア国債入札では、応札必要金額8.5Bユーロに対し、7.9Bしか応札がなく、いわゆる「未達」をやってしまった。これは定義によっては「デフォルト」と認定されてもおかしくない。何せ、日本と異なり約50%が外国からの資金調達(これでも他の欧州諸国より低いんですけど)。これは大ピンチです。 【今週の数字】 今スペイン10年債のスプレッド 393BP 8月2日現在、スペイン10年債利回りのドイツ債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は393BP(1BP=0.01%)。ユーロ導入以来最大に。米国の歳出削減が各国の債務削減を阻害するとの懸念が背景にある

スペイン10年債のスプレッドの推移。容赦なく利回りが上昇するなかで、スペイン債の利回り6.5%が重要な節目になるといわれている

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