エンタメ

再始動のKEMURIを直撃「僕らは確実に進化している」

 観客でごった返すフロア、人で溢れたバーカウンター、そしてスポットライトに照らされたステージ……。その、どこかしこもが、とびっきりの“笑顔”に溢れていた。

 5月14日、KEMURIが主催するチャリティーライヴ「YOUGO」が渋谷AXで行われた。

 KEMURIは’95年にヴォーカルの伊藤ふみおを中心に結成された、スカパンク・バンドだ。パート構成はヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、それに“金管隊”としてトランペット、トロンボーン、サックスが加わる(一部はサポートメンバー)。ヘビーでハイテンポなサウンドに、金管楽器の音色が加わり、なんとも爽快なスカパンク・サウンドが聴く者を圧倒する。そのスタイルが広くオーディエンスに愛され、KEMURIは結成以来、長らく日本のスカパンク・シーンを牽引する、まさにカリスマだった。しかし’07年、そんな彼らは惜しまれつつ解散する。

 もうあの“KEMURIサウンド”を聴くことは叶わないのか……そう思った矢先、彼らの突然の再結成が発表された。’12年に宮城県で行われた「AIR JAM 2012」に、同イベントを主催するハイ・スタンダードの求めに応じて、再結成・出演することが決まったのだ。

メンバー左から津田紀昭(Ba)、平谷庄至(Dr)、伊藤ふみお(Vo)、コバヤシケン(T.Sax)、田中幸彦(Gt)

 そうして5年の沈黙を破り活動を再開した彼らは今、その曲調を表すが如く、まさに疾走している。前出の主催イベントなども精力的に行いつつ、6月5日にはついに待望の新作アルバム『ALL FOR THIS!』をリリース。さらにその新作を引っさげて、6月14日の横浜ブリッツを皮切りに、全国11か所を廻るリリースツアーもスタートさせる。

 再び動き出した彼らを突き動かした思いとは、一体何なのか。ヴォーカルの伊藤ふみおに、その胸中を聞いた――。

◆「KEMURIを待っててくれた人がこんなにいたのかと、正直驚いた」

――昨年9月の「AIR JAM 2012」で活動を再開したわけですが、そのときの心境はどういったものだったのでしょうか?

伊藤:やりたい気持ち半分と、あとは、ちゃんとやり方を考えないといけないなということですね。恥ずかしい思いはしたくなかった。だって、共演者は皆どのバンドも、地道にアルバムを作ったり、ツアーをしたり、いろんな意識を持って頑張ってきている人たちが出るわけじゃないですか。誰だってAIR JAMのような大きなイベントは出たいし、みんな東北のために何かしたいと思っている……。そのときに、「KEMURIとして何ができるんだ?」ということをちゃんと考えてやらないと、非常に納得がいかないなと思ったんです。

――そのなかで、最終的に再結成を決断した要因は?

伊藤ふみお(Vo)。俳優としても活躍する

伊藤:自分のなかの「コレなら納得いく」ということは、やっぱりちゃんとKEMURIとしてアルバムを作って、ツアーもやって、皆で仲良くまた楽しい音楽をやれるかということだったんです。だから、その意識をメンバー全員が共有できるんだったら、再結成してもいいと思った。なので、再結成をする前にはメンバー全員と、とことん話しあったんです。個人個人と何回も、納得のいくまで話し合った。それを経てようやく、再結成をしようということになりましたね。

――久しぶりのステージ。どういう思いでしたか?

伊藤:KEMURIの音楽を待っててくれた人がこんなにいたのかと、正直、驚きましたね。それと同時にすごく嬉しかった。

――その後も活動を継続し、新作のレコーディングも行いました。今回はアメリカのコロラドで制作を行ったとのことですが、いかがでしたか?

伊藤:すごく楽しい時間でしたね。再結成するにあたって、結成当初のオリジナルメンバーの田中幸彦(Gt)が戻ってきたんです。なので、人が変わって雰囲気も変わったし、やはり新しい物を作り出すというのは大変だけど楽しい作業でした。新しいアルバムの制作が始まって、そのあたりからKEMURIの活動自体もすごく楽しくなってきましたよ。渡米してからは余計なことを考えなくてよくなったし、24時間、音だけに集中してレコーディングしていました。もう、最高でしたね(笑)。

――レコーディング中の思い出深い話は?

伊藤:みんな体調を崩したことですかね(笑)。なんか、一人が具合悪くなったら、みんな次々に体調悪くなっていったんですよ。たぶんウイルス的なものだと思うんですけど、もうみんな、戦々恐々としちゃって(笑)。

――伊藤さん自身は大丈夫だったんですか?

伊藤:僕はなんとか最後まで大丈夫だったんですけど、いつ自分に来るかと、怖くて仕方がなかったですよ。ほとんどパンデミック状態です(笑)。まあ、そんなことがありながらも、毎日楽しくできたんですけどね。

⇒【中編】に続く「このアルバムのために、解散も再結成もあった」
http://nikkan-spa.jp/447189


<取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/林 健太 写真提供/cutting edge>

【伊藤ふみお(KEMURI)】
スカパンク・バンド「KEMURI」のヴォーカル担当。’95年の結成以来、シーンの第一人者として活動を続け、’07年12月に惜しまれつつKEMURIを解散。しかし昨年9月、Hi-STANDARDの呼びかけに応じ、宮城で開催された“AIR JAM 2012”で5年振りの再結成を果たす。6月5日には再結成後初となるスカパンクアルバム『ALL FOR THIS!』をリリース。全国11か所を廻るリリースツアーも開始。詳しくはHP(http://kemuri.com/)をチェック!

ALL FOR THIS!

全13曲を一気に駆け抜ける超アグレッシヴなパンク・アルバム




おすすめ記事