参院選最大の成果は「ネット与党の誕生」にアリ!?
既報(https://nikkan-spa.jp/478879)のとおり、山本氏は投開票直前まで熾烈な“5位争い”を繰り広げていた。新聞各紙の情勢調査では、共産党の吉良佳子氏、民主党の鈴木寛氏に次ぐ6番手だったのだ。おまけに今回の参院選の投票率は、52.61%と戦後3番目の低さ。浮動票頼みの山本氏にとって厳しい戦いだったに違いない。にもかかわらず、追い風の吹く自民党候補を抑えて当選を果たした意味は相当デカイ!
ただし、野党の課題は少なくない……。
「今回の選挙は、言ってみれば“約束しない選挙”。自民党は『今後10年で実質GDP成長率2%の成長を実現する』こと以外に、ほとんど数値目標や期間を設定していなんですから。これまでは、公約を実現できなかったら『マニフェスト違反だ!』と非難されたものですが、安倍政権に関してはその心配がないという点で、画期的な選挙だったと思います(苦笑)。こんな選挙で自民党を圧勝させてしまった原因は、明らかに野党の力不足にあります。その点で、今後の課題はいかにして力を結集させるかという一点に尽きるでしょう。民主党はかろうじて野党第一党を死守しましたが、立て直すには相当な時間を要します。ここは“みんなの民主党”の結党が不可欠です。野党第一党だからと主導権を握ろうとせず、みんなの党の渡辺喜美氏を代表に据える形での合流ならば可能。大躍進した共産党にも配慮して、合意できる政策では合意する姿勢も必要。さもなければ、野党の存在感は薄まるばかりでしょう」
自民圧勝・民主惨敗ばかりが際立った参院選だったが、みんなの党と共産党がともに5議席増やし、日本維新の会が6議席を上積みしたのも事実。前述のとおり、無所属の山本太郎氏も自民候補に競り勝った。自民圧勝は有権者の総意にあらず。さらなる野党の奮起に期待したい! <取材・文/日刊SPA!取材班 写真/池垣完(本誌)>
7月21日に投開票を迎えた参院選は下馬評どおり自民党の圧勝に。1人区の選挙区では29勝2敗。東京、千葉では2議席を獲得し、改選前から31議席を上積みした。対する民主党は改選44議席から27議席も減らして、結党以来最少の獲得議席に……。
昨年の衆院選に続く自民圧勝で、民意は完全に安倍政権を支持しているかのように見えるが……実は今後の安倍政権に水を差すような意見もある。政治ジャーナリストの藤本順一氏が話す。
「選挙区と比例を合わせて単独過半数獲得もありえると言われていたなかで、自民党は7議席及びませんでした。確かに、圧勝といえる獲得議席ですが、有権者のバランス感覚が働いたのは間違いありません。茨城、新潟などの2人区では自民党候補が2位に倍以上の得票差をつけて勝利したことを考えれば、強気で複数の候補者をたてなかったことも悔やまれるはず。今後の安倍政権が盤石になったとは言えない勝ち方です」
その背景には民主党を除く“非自民”の善戦もあったという。
「共産党は12年ぶりに参院選の選挙区で議席を獲得し、比例代表に非拘束名簿式が導入された2001年以降、最多となる議席を確保しました。反自民票の受け皿になったのは明らかです。また、東京では完全無所属の山本太郎氏が猛追し、得票数4位で当選を果たしました。これは、参院選始まって以来の快挙と言えるでしょう。ツイッターの“つぶやかれ数”で断トツの1位だったことを考えれば、山本氏の当選により、歴史上初めて日本で“ネット与党”が誕生したと表現しても過言ではない。最も重要な東京選挙区で、公認候補の武見敬三氏を上回る得票数を獲得して山本氏が当選したことは自民党も無視できないはずです」
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