震災をキッカケに人間関係に悩むキャバ嬢
― 有名人が告白 震災で変わった「私の生き方」 【12】 ―
阪神大震災、オウム事件、9・11――。これらの出来事と今回の東日本大震災の一番の違いは“当事者感覚”の有無だろう。東京から明かりが消え、余震が続いたなか、人々は原発の情報収集に奔走したからだ。そんな状況を経て、各界著名人の価値観はどう変わったのか? また一般の人々はどう変わったのか?
◆思わぬ風評被害がもとで人間関係に亀裂が……
福島第一原発で水素爆発が起こった翌日、両親の勧めに従い、実家の徳島へと一時的に帰省することを決意したのは都内のキャバクラ店で働くUさん(24歳)。帰省して1週間後、予期せぬストレスに悩まされることに。
「そろそろ東京に戻るって両親に言ったら『ダメだ、被曝して子供が産めない体になるぞ』なんて言うんです。当事者意識が低いから、変な噂をそのまま信じちゃうみたいで……。東京の人たちのほうがよっぽど冷静ですよ」
そんな両親の態度に身動きが取れずにいると、今度は東京の同僚から心ないメールが届く。
「Uは東京から逃げたって噂になったみたいで……。ちょっとした人間不信状態になりましたね」
脱出組にも思わぬ心身の疲労は訪れたようだ。
◆定年まで粛々と働く人生に違和感を覚えました
「震災後の1週間、いつもと同じ時間に出社して業務を繰り返す。もちろん地震のことは話題になるけど、『ウチらの仕事に影響があるわけじゃない』って空気なんです。そのことに強い違和感を覚えましたね」
そう語るのは都内のIT会社でSEとして働くOさん(29歳・男)。6月いっぱいで退社をし、独立起業を視野に入れて動きだしたとのこと。
「それまで会社員として粛々と働き続けることに何の疑問もなかったんですけど、今回の地震でその価値観が吹っ飛びました。定年まで働ける保証なんてないし、今しかできないことを目いっぱいやりたいと思ったんです」
人生は有限なもの。自分の働き方を見つめ直すOさんのようなケースは、今後も増えていくのかもしれない。
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