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弁護士になった時点で借金!? “法律家のヒヨコ”たちの過酷な現状

◆改革失敗でジリ貧弁護士が激増!!

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 2001年、小泉内閣が司法制度改革推進法を成立させた。国民と司法のつなぎ役である法曹人口を増やすのが改革の近道だと短絡した結果、弁護士業界が大荒れの状態なのだ。事務所に入って弁護士として活動できているのは、幸せ者。今年8月2日、国を相手に211人の元司法修習生(新第65期)が給費制度維持を求めて裁判を起こしている。その原告団長である久野由詠弁護士が語る“法律家のヒヨコ”たちの状況は実に過酷だ。

「新第64期の司法修習生までは、修習期間中に国から生活費の給付を受けていたんですが、新第65期は給付ではなく修習費用・生活費を全額貸与という形になっています。借金をしなければならないのは、修習専念義務があるために兼業(アルバイト)が禁止されているからなのです」

 国からの貸与金額は月に23万円が基本。修習期間は1年間なので総額にして約300万円。これを修習修了後5年の猶予を経て、10年かけて返済していく計算だ。

「新第65期の司法修習生が抱える借金はそれだけではありません。法科大学院に行かないと司法試験を受けられませんから、その学費が必要です。法科大学院の学費を奨学金で賄った場合、約300万円。さらに貸与で300万円。学部時代から奨学金を借りていた人などは、弁護士になった時点で1000万円近い借金を背負っているケースもあります」

 ここで当然の疑問だが、すでにこれだけ負債のある人間に、国は300万円もの大金を貸し付けて回収の見込みがあるのだろうか。

「国から借りる際には、連帯保証人が2人必要です。保証人を立てられない場合は、オリコが保証会社になって、もしも返済が滞った場合に代位弁済する仕組みです」

 せっかく弁護士登録をしても、信用情報がブラックでは台無しだ。そもそも、借金まみれという時点で、敬遠する依頼者もいるだろう。

「借金してまで300万円を払うのが嫌で、司法試験に合格しても修習に行かず、公務員になった人もいます」

 もはや司法試験を突破して法曹界で働くことができる人は、財力のある人に限られている。

「今、政府内には司法修習生の兼業を一部許可しようという動きもありますが、修習への拘束時間が変わるわけではありません。また、法曹の中立性を維持するためにも、兼業を許可すれば解決できる問題ではないのです」

 勉強、研修するために修習生にバイトして生活費を稼げというのは、なんとも本末転倒だ。また、修習修了後に待ち受ける就職問題も修習生にとっては大きな問題である。

「法律事務所に採用されればまだラッキーで。私の代の修習生は約2000人いますが、成績上位200人くらいはすんなり検事や裁判官になったり大手事務所に就職できます。その一方で300人は、修習終了時点で事務所が決まってなかったり弁護士会に払う登録料が工面できず、弁護士登録ができない状態なんです」

 弁護士になれば大金持ちになれるといった誤った認識があるからなのか、彼らが起こした裁判に冷ややかな世論もある。だが、現状は厳しく事務所に就職すらできない若手もいるのである。いつ弁護士のお世話になるかはわからない。優秀な弁護士を数多く輩出してもらうためにも、給費制度裁判からは目が離せない。

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