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習近平体制の中国で「第二の文革」待望論が噴出

毛沢東 毛沢東生誕120周年を迎える中国で今、文化大革命の再来を予感させるような事象が相次いでいる。

「胡錦濤時代は、街中にあるスローガンは『痰は吐くな』『列に並んでマナー乗車』といったマナー向上を呼びかけるものが多かったんですが、最近ではそれらに代わり、文革期のプロパガンダを思わせるようなスローガンが、駅や広場などに掲げられています。曰く『共産党がいれば生活は安心』『社会主義のもとで躍進する生活』といった調子。人民解放軍の模範兵で思想的モデルである雷鋒のポスターも、過去に比べて頻繁に見かけるようになった。まるで時代が逆戻りしたかのようです……」

 こう証言するのは、北京市在住の日本車メーカー勤務・内田義隆さん(仮名・43歳)だ。

 また、『産経新聞』などによると、北京市と湖南省の共産党宣伝部が、管理下にあるメディアに、毛沢東の批判者として知られる改革派経済学者・茅于軾氏を取り上げないよう通達を出していることも明らかとなっている。

 深セン市の日系メーカーに勤務する牧原健二さん(仮名・39歳)も、“異変”についてこう語る。

「最近、毛沢東を礼賛するかのような、文革期を彷彿とさせるレストランが相次いでオープンしている。どうやら営業許可が取りやすいようです。逆に、日本食をはじめとする外国料理店は、営業許可が取りにくいと言われています」

 さらに広州市の日系運送会社に勤務する山下卓也さん(仮名・36歳)も、人民の間の「文革待望論」についてこう証言する。

「格差拡大に歯止めがかからないなか、貧困層には文革時代を懐かしむ声があるのも事実です。屋台で酔っぱらった農民工たちが『金持ちたちを下放(文革時の農村部での思想教育)しろ!』とか、『人民公社を復活させろ!』と叫んでいるのを見たこともあります」

 文革の再来を予感させるようなこうした動きに関し、中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏はこう解説する。

「習近平が贅沢禁止令を打ち出した頃から、左傾化を懸念する声は囁かれていたが、具体的な動きが出てきているとなると、『いよいよか』という思いがする。習近平や李克強以下、現在の指導部の多くは文革世代で下放も経験している。こうした体験から、彼らは国が左向きに突っ走ったときの“怖さ”を肌で知っています。だから、指導部はバランスを取りながら、あえて少しだけ左に寄せて貧困層をなだめようとしているのではないでしょうか。特にスローガンに関しては、富裕層に対して富の再配分への協力を促すための要請にも見えます」

 一方、文革の再来を牽制するような出来事も起きている。8月には『新京報』や『南方都市報』など、比較的自由な報道で知られるメディアが、元紅衛兵によるとされる懺悔の告白を相次いで特集。それらは、「文革を批判した実母を密告し、銃殺刑に追い込んだ」「教師など知識人階級に理由なく暴行を加えた」といった内容で、毛沢東を評価する習近平体制への批判ともとれる。

 都市部の中間富裕層がもっとも恐れる「貧者の反逆」=第二の文革が本当に起これば、日本も無傷ではいられないだろう。 <取材・文/奥窪優木>

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