崖っぷちのザックJAPANを在日外国人はどう見たか?
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
サッカー日本代表がセルビア・ベラルーシに痛すぎる連敗を喫した。ワールドカップ・ブラジル大会が来年に迫った日本代表。南アフリカ大会のベスト16を上回る成績を期待したいところだが、ここにきてW杯予選を敗退したセルビア、ベラルーシに連敗するなど暗雲が立ちこめている。
そんな日本代表の姿は外国人の目から見て、どのように映っているのだろうか? 代表戦を観戦していた在日外国人たちに話を聞いた。
◆サッカー先進国の外国人から厳しい意見が噴出
まず、多く聞かれたのが守備陣への不満。今年行われたコンフェデ杯でもブラジルなどの強豪を相手に3試合で9失点するなど不安は大きい。
「はっきり言って不甲斐ないでしょ。ピンチで人は足りてるのに点を取られるっていうのは守備が崩壊してる証拠。今野(泰幸/ガンバ大阪)は2部チームの選手だって言うじゃないか。それとプレミアの下位チームでベンチに座ってる吉田(麻也/サウサンプトン)がセンターバックじゃ話にならない。代表なんだから2部のチームの選手を使うなんて、狂ってるよ」(40代男性・イングランド)
たしかに前回大会では田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス)と中澤佑二(横浜Fマリノス)というベテラン守備陣がエトーなど、名だたる強豪フォワードを抑えていた。しかし、結果が出なければ選手を代えるのがプロの世界だが、その点にもサポーターは不満なようだ。
「セルビアに負けたのにベラルーシも同じスタメン。親善試合は交代カードが多く使えるのに終盤まで選手を代えないし、あれじゃベンチのメンバーは旅行に行ったのと変わらない。チーム内の競争意識もなくなっちゃうんじゃない?」(30代男性・ドイツ)
ザックが交代策に消極的であることや、新しく呼んだメンバーを使わないのは連携を深めるためだと擁護する意見もあったが、ほとんどは否定的な意見だった。
「こんなに負けてるんだからサポーターも怒ったほうがいいでしょ!」(先述40代男性・イングランド)
こちらも怒っているつもりなんですけどねえ……果たしてサポーターの怒りは監督・選手に伝わっているのやら。このままでは代表だけでなく、日本サッカー全体に悪影響が及ぶという厳しい指摘も。
「海外組とかお気に入りの選手ばっかり使ってるけど、あれじゃ国内の選手もやる気がなくなるし、海外に移籍すれば代表に入れると思っちゃう。それでどんどん有望な選手が抜けてけばリーグも弱体化するし、絶対代表も弱くなる。うちの国がまさにそう(笑)」(50代女性・ポーランド)
メンバー選考や試合中の交代策、守備の崩壊や攻撃のアイディア不足と、攻守に渡って課題は山積みのようだ。なかにはそもそも日本がW杯に出場していることすら知らないすっとぼけた反応まで……。
「日本って野球以外も盛り上がるんだね。ベラルーシとかがどれぐらい強いのか知らないけど、サッカーはやっぱりヨーロッパなんじゃないの? 日本だって野球でベラルーシに勝つのは当たり前でしょ?」(30代男性・アメリカ)
く、悔しい……これはぜひとも日の丸を背負った侍たちにリベンジしてもらい「サッカー先進国」の鼻を明かしてもらいたい!! 一方で日本サッカーの強さを評価し、問題は選手の質ではなく監督にあるという意見も。
「W杯でもベスト16に進んだし、Jリーグからトップリーグに移籍する選手も増えた。親善試合とはいえ、こんな内容で代表が連敗したら普通はクビだよ。せっかく日本がここまで強くなったんだから、わざわざ監督と心中する必要はないんじゃない?」(40代男性・ブラジル)
このままでは手遅れになると警鐘を鳴らすのはザックの母国イタリア出身のサポーター。セリエA を制するなど、確かな実績のある監督なのだが……
「昔はACミランで優勝したり良い監督だったけど、ザッケローニなんてこっちじゃ『あの人は今』状態。どこのチームに行っても、一旦歯車が狂うと修正できない人だからね。日本もちょっと厳しいんじゃないかな」(30代男性・イタリア)
しかし、本大会直前に監督を代えるのはかなりのギャンブル。仮にザックを切ったとして、そもそも引き受けてくれる人がいるのだろうか。来月には前回W杯でも対戦したオランダとの試合が控えるサッカー日本代表。果たして起死回生の特効薬となるのか、それとも最後の審判が下るのか。今後を占ううえでも目が離せない戦いになりそうだ。 <取材・文/林バウツキ泰人>
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