安倍首相の増税判断は一種の“ヤラセ”

野田前首相と安倍晋三氏との党首討論から丸1年がたった’13年11月14日。発表された’13年7-9月期のGDP成長率(速報値)は1.9%。個人消費と輸出が景気減速の主因だったが、すでに消費税増税は決まり、アベノリスクへの転換は確実か。 ◆消費税増税で波乱含みのアベノミクス相場は、機敏な対応が勝敗を分ける【後編】(政治経済学者 植草一秀氏) ⇒【前編】「史上空前のデフレ財政がはじまる」はこちら ◆消費税増税は7―9月期の数値で判断すべきだった?  8月に速報値、9月に改定値が発表された4-6月期のGDP成長率3.8%は、高めの数値になるように仕組まれていた。円安・株高効果、補正予算の執行効果で、高めの成長率になることが最初からわかっていたからだ。安倍首相は、この数字で増税を判断。景気を見て増税を決断したのではなく、増税が先に決まっていて、それをもっともらしく見せるために、高い数字になる4-6月期成長率を使うことにしたわけだ。一種の「やらせ」だ。  一方、7-9月期の1.9%は日本経済の足取りがまだ覚束ない実態を、より正確に表している。そのなかで大増税が実施される。’14年1-3月期は、増税前の駆け込みで景気が盛り上がるだろう。しかし、その反動が恐ろしい。  最新拙著『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)をご高覧賜りたいが、増税実施後の日本経済には強い警戒感が必要だ。日本株価が上昇したのは、米国景気回復見通しの強まり=米国株価上昇=米ドル上昇の影響が大きい。10月雇用統計が事前予想よりも強かったことが影響した。  読みにくい海外要因が影響するため、予断を持つべきでないが、少なくとも国内要因では、’14年度の財政デフレの影響を軽視するべきではない。
アベノミクス相場

グラフは'07年第2期~'13年第3期までのGDP成長率(前期比年率)。'13年7-9月期の1.9%(速報値)を見れば、消費税増税判断が早計だったことがよくわかる

【今週の数字】 ’13年7-9月期のGDP成長率(前期比) 1.9% 安倍首相は消費税増税実施の最終判断に、8月に発表された’13年4-6月期GDP成長率を選んだ。改定された数値は3.8%と高かったが翌7-9月期は1.9%に急減速 【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある
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