行列のできる「老舗店」の秘密に迫る
日本人は行列が好きだ。時間がたてば、並ばずに買えるようなものでも並んでみたりする。そこで、この冬、大行列を生み出している名店に実際に並び、待ち時間と成果を公開する
◆流行に左右されず長く続く本物の行列
オープンしたての店が行列するのはある意味、当たり前。行列が続くと評判の老舗店の秘密を探る。
まずは、日本橋三越本店近くの路地に店を構えるのが、江戸前天丼の名店として人々に愛される「金子半之助」。とある平日、11時開店ということで、10時35分に到着するも、店の前にはすでに行列が。23番目に並び、店の開店を待つ。店の外に椅子(店の前のみ設置)や温かいお茶、暖房器具が用意されているのは、非常にありがたい。そして待つこと約1時間。やっと店内に通された。開店から40分近く待たされたのは想定外だったが、すぐに出てきた江戸前天丼を見て疲れは吹き飛ぶ。ご飯の上に所狭しと載せられたネタは大迫力。これで880円なのだから、コスパはいい。サクサクの衣はごま油の香りがよく、ネタはいずれも新鮮だ。おいしくて安くてボリューム満点の天丼目当てに行列ができるのも頷ける。
満足して外に出ると、12時のピークには約70人もの行列ができていた。店員によると15時から人が減り始め、夕方がいちばん空くそうだ。休日は日曜日が狙い目で、実際に12時から45番目で並び始めても、約1時間30分で天丼にありつくことができた。
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お次は、人形町の駅近くに店を構える、軍鶏料理専門店の「玉ひで」。この店には連日朝から長蛇の列ができる。そのお目当ては「親子丼」。この店こそ、“親子丼の元祖”と言われている。店がオープンするのは11時20分。肌寒いが天気のよい平日、最初に並んだのは40~50代と見られる女性客3人。それから、あれよあれよという間に長い列ができ、開店時には40人近くが並んだ。10時55分から並び始めて約30分でありついた「元祖親子丼」(1500円)は、半熟卵がトロットロ。プリプリとした軍鶏との相性も抜群で、一気に完食。昼飯にしたらやや高めでもこの味を求めて人々は並ぶのだ。
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最後は、東京の台所、築地市場随一の行列店の「寿司大」だ。目当ては、普通に食べれば1万円相当の「旬魚おまかせセット」(にぎり11貫+巻き物+玉子焼き)が3900円で食べられるということで、大人気の店だ。平日、開店時刻の5時に訪れると、店の前には早朝から50人ほどの列が。しかも待っている人の8割は外国人だ。前のアメリカ人は、今回5回目で、日本旅行のときには必ず立ち寄るそうで、クチコミでかなり人気らしい。6時50分、やっと入店。約2時間待ちというところ。
「平日は2時間、土曜は3時間待ちが普通で、朝から常に列ができているから空いている時間はないよ」と店の人。試しに土曜12時にも並んでみたが、おっしゃる通り3時間待ち。だが、これだけ待った後に出てきた寿司は、うまいの一言。言うまでもなく、築地のネタは新鮮。そして、細やかな仕事ぶりが窺える。職人たちは、自然な会話で客を楽しませる。並んだことを忘れてしまうほどだった。
老舗系の行列の秘密は、確かな味と企業努力による安値のようだ。
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【金子半之助】
(行列待ち時間・平日:1時間5分/休日:1時間30分)
ご飯の上に海老(2尾)、あなご、シシトウ、焼き海苔、玉子、小柱とイカのかき揚げが載り、値段の割に豪華。玉子は載っていないが、弁当なら予約注文で並ばずに買えそう(不定休)
【玉ひで】
(行列待ち時間・平日25分/休日50分)
平日に並んだところ、「行列の人数がピークになる時間は日によって違います。今日は少ないほうですね」とのこと。土日ともなると、開店1時間前から列ができ、12時近くには約70人が通りに長い列をつくった(年中無休)
【寿司大】
(行列待ち時間・平日:1時間50分土曜3時間10分)
平日のこの日、一番乗りの人は3時20分から並んだとか。営業時間は5~14時で、14時に行列が締め切られる。水曜のみ14時に営業が終了するため、早いときで10時には並べなくなる。築地市場が休場の日・水は休み
※待ち時間は今回並んで算出した目安です
― この冬[行列のできる店]に並んでみた【6】 ―
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