終夜バス試験運行開始 タクシー待ち1時間の六本木が変わる
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記者が渋谷駅に到着したのは深夜0時半。渋谷駅深夜1時10分発のバス前には多くの報道陣が詰めかけ、いつもと変わらぬ都バスの車体が煌々と照らされていた。乗客は、飲み会帰りのサラリーマン、20〜30代女性グループが多く、泥酔状態の若い男性グループの姿はなかった。また、警備員も同乗していることもあり、「安心して乗れる」との声もあった。なかには終夜バスに乗ること自体が目的のバス好きや、「今日、初運行らしいよ」と乗るまで初運行ということを知らない乗客もいた。乗車率は200%超。渋谷駅発六本木行きのバスは、1時10分発から1時間10分間隔で4時40分発までの4本が運行される。
記者もバスに乗り込み六本木へ。六本木は1時40分発から1時間10分間隔で5時10分発までの4本が運行される。1時40分発のバスは、座席が埋まったものの立ち客はほぼいない程度の乗車率だった。六本木交差点付近でタクシー待ちをしている数人に話を聞いたが、試験運行が開始されたということ自体知らない人も多かった。
六本木交差点周辺でのタクシー待ち時間は、最低30分、運が悪ければ1時間という状況だった。タクシー乗り場では長蛇の列ができており、車道に飛び出てタクシーの前に立ちふさがる人まで現れる状況。諦めて歩き出す人も多い。年末の金曜夜ということもあり、並ぶも地獄、歩くも地獄だ。終夜バスの存在に気付き、「渋谷に行けばタクシーも拾いやすいかもしれないのでバスに乗ってみます」という人も。
六本木発のバスで一つ目のバス停は西麻布。こちらもパーティー帰り、飲み会帰りの人で溢れ、タクシーをつかまえるのは絶望的。そこで、終夜バスで六本木、渋谷両方向の利用者がいるか探してみることに。午前4時前、六本木行きに乗車した人はゼロ。下車した西麻布在住のマダムは「渋谷でもタクシーがつかまらなくて、終夜バスのことを知っていたのでバスに乗りました。バスは警備員もいるしタクシーより安心」と軽やかに家路についた。
電車が通っておらず、タクシーとバスしか交通手段がない“陸の孤島”西麻布。イベント帰りのDJは40分外を歩いた挙句、電話でタクシーを配車して帰宅していた。あまり終夜バスが活用されていない西麻布だったが、今後認知度が上がれば活用されるかもしれない。渋谷行きのバス停近くでタクシー待ちをしていた女性にバスの存在を教えると「すごい助かる!もっと本数が増えてくれるといいですね」と言って渋谷へ向かった。
猪瀬都知事の置き土産となった終夜バス。初日は報道陣の食いつきぶりからも大盛況に見えたが、バスを遠巻きに眺めていた通行人からは「え〜あんな満杯のバスに乗ったら吐いちゃう」、「もっと郊外まで走ってくれたら乗るのに」といった冷ややかな声も。今後、この試験運行がいつまで運行されるのか、どんな問題が浮き彫りになるのか、引き続き注目したい。 <取材・文・撮影/林健太>
12月20日深夜、渋谷と六本木の間で終夜バスの試験運行が始まった。終夜バスをはじめとする都営交通の24時間化は、先日辞意を表明した猪瀬都知事が進めてきたもの。今後、新都知事の意向によって変更の可能性があるものの、基本的には計画通り、1年を目処に毎週金曜深夜の試験運行が続けられる。
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