「子や孫を被曝から守りたい」立ち上がったOVER60世代
「子や孫を被曝から守りたい」と、「福島原発行動隊」(シニア決死隊)の有志が動き出した。“本丸”である福島原発での作業を待ちわびながら、除染につながる草刈り作業に汗を流したシニアたちの素顔に迫る。
◆シニア決死隊の決意「オレたちが悲劇を終わらせる!
8月下旬、福島第一原発から29kmの被災地・福島県いわき市久之浜地区の草刈りボランティア現場で、ひときわ存在感を放っていた石田和彦さん(64歳)は、現役バリバリの鳶職人だ。滋賀の自宅から朝一番の新幹線で駆けつけた。四十数年前に福島第一原発1号機の原子炉建屋の鉄骨工事に半年ほど携わった。3月11日に始まった想像を絶する事態に、居ても立っていられなくなったという。
「津波でやられたあの原発建屋、自分がかかわった場所やから、やっぱり責任を感じます。たまたまスポーツ新聞で福島原発行動隊のことを知って、『これしかない』と思ってね」
石田さんの言う「福島原発行動隊」(シニア決死隊)とは、「若者たちを被曝から守り、原発事故を収束させる」ことを目的に、さまざまな経歴を持つ60歳以上の人々によって結成された団体。これまで集会は何度も行われてきたが、実際の活動はなかなか進まず、メンバーの中でもイライラが募っていた。そこで「有志」たちが「まず行動を」と、放射能の除染につながる草刈りボランティアを行ったのだった。
「あと何回会合をやったら前に進めるのかなって。自分も高齢者やから、元気に活動できる時間って、もうそんなにないでしょ。福島原発に入れる方法があったら、ホンマ教えてください」(石田さん)
【石田和彦さん】
福岡県出身。20代前半で鳶職に。大飯、高浜、浜岡などの原発や横浜ランドマークタワー(70階建て)の工事に関わる。「戦争じゃないけど、自分の命がかわいかったらこんな活動できないですわ」
― シニア決死隊の決意「オレたちが悲劇を終わらせる!」【1】 ―
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