【第96回甲子園】野球留学生は増加傾向に
台風11号の影響で2日間、開幕が延期となったが、戦いの火蓋が切られた第96回全国高校野球選手権大会。各都道府県の代表49校が「真紅の大優勝旗」を目指す。今年は初出場校が9校(うち春夏初が5校)、春夏連続は8校、最多出場は春夏連覇を狙う龍谷大平安(京都)の33回目、聖光学院(福島)が戦後最長タイとなる8年連続の出場を果たした。
注目の選手は、岩手県代表・盛岡大付属の150km右腕・松本裕樹(3年)。同郷の先輩大谷と同様「二刀流」としてスカウト注目の逸材だ。その盛岡大付属と第6日で対戦する、東海大相模の2年生右腕・吉田凌は神奈川県大会決勝で20三振を奪うなどキレの良いスライダーが武器の好投手。チームも吉田のほか140kmを超える左右の速球派投手を3人も揃えるなど「優勝候補の最右翼」と言っていい。また、沖縄尚学の左ひざを高く上げる独特のフォームから「琉球のライアン」の異名をとる山城大智(3年)も好投手として注目される。
打者では、高校通算73本塁打を誇る智弁学園の右の大砲、岡本和真(3年)が注目される。智弁学園は、’92年、松井秀喜(星稜)の5打席連続敬遠を指示した馬渕史郎監督率いる明徳義塾(高知)と第5日に相まみえるなど、見どころ満載の大会となりそうだ。
そんななか、最近議論となるのが甲子園常連校などが、県外から選手をスカウトなどして集める「野球留学生」問題だ。親の転勤、通学の利便性など近隣県での「越境」もあるが、関西地域から東北地区に越境する選手が多いことは知られており、高校野球ファンならずとも議論の的となりそうだ。
一昨年、昨年と日刊SPA!が掲載した記事には様々な意見を頂いている。以下の記事とデータは各都道府県の代表校のベンチ入り18人の選手のうち、県外出身者の占める割合を表したものである。
予選参加校が最多の神奈川(190校)や大阪(180校)や最小の鳥取(24校)では明らかな”格差”が生じていることや、こうした「留学生」が各地域のレベルアップに繋がっていることも事実であることも鑑みて、以下のデータを見ていただきたい。
―― 2014県外出身者人数(ベンチ入り18人のうち) ――
※学校名[出場回数](参加地域/公私立/予選参加校数):県外者人数[出身中学県]
[なし]15校
武修館[初](北北海道・私立・103校):0人
東海大四[21年ぶり5回目](南北海道・私立・122校):0人
角館[初](秋田・県立・50校):0人
利府[初](宮城・県立・74校):0人
山形中央[4年ぶり2回目](山形・県立・49校):0人
作新学院[4年連続10回目](栃木・私立・62校):0人
富山商[10年ぶり16回目](富山・県立・48校):0人
星稜[2年連続17回目](石川・私立・49校):0人
八頭[4年ぶり8回目](鳥取・県立・25校):0人
岩国[7年ぶり5回目](山口・県立・59校):0人
坂出商[20年ぶり8回目](香川・県立・40校):0人
佐賀北[2年ぶり4回目](佐賀・県立・41校):0人
大分[初](大分・私立・47校):0人
鹿屋中央[初](鹿児島・私立・77校):0人
沖縄尚学[2年連続7回目](沖縄・私立・61校):0人
[1~5人] 14校
東海大望洋[初](千葉・私立・170校):1人(東京1)
静岡[3年ぶり23回目](静岡・県立・113校):1人(熊本1)
海星[3年ぶり17回目](長崎・私立・57校):1人(福岡1)
鳴門[3年連続9回目](徳島・県立・31校):1人(兵庫1)
東邦[6年ぶり16回目](愛知・私立・189校):2人(三重2)
三重[2年連続12回目](三重・私立・62校):2人(愛知2)
小松[初](愛媛・県立・59校):2人(大阪1 兵庫1)
藤代 [3年ぶり3回目](茨城・県立・100校):3人(千葉3)
佐久長聖[2年ぶり6回目](長野・私立・87校):3人(大阪2 神奈川1)
市立和歌山[10年ぶり4回目](和歌山・市立・39校)3人(大阪3)
開星[3年ぶり9回目](島根・私立・39校)3人(大阪2 兵庫1)
日大鶴ケ丘[6年ぶり3回目](西東京・私立・128校):4人(神奈川3 埼玉1)
日本文理[2年連続8回目](新潟・私立・88校):5人(東京2 栃木1 兵庫2)
智弁学園[3年ぶり17回目](奈良・私立・42校):5人(兵庫3 大阪2)
[9人以下] 6校
近江[6年ぶり11回目](滋賀・私立・52校):6人(大阪1 京都1 岐阜1 兵庫1 三重1)
春日部共栄[9年ぶり5回目](埼玉・私立・156校):7人(栃木2 茨城2 千葉1 兵庫1 東京1)
関西[3年ぶり9回目](岡山・私立・59校):7人(愛知3 大阪1 奈良1 兵庫1 和歌山1)
日南学園[3年ぶり7回目](宮崎・私立・49校):7人(大阪2 鹿児島2 福岡1 熊本1 大分1)
神戸国際大付[初](兵庫・私立・162校):8人(大阪4 和歌山1 滋賀1 奈良1 岡山1)
東海大相模[4年ぶり9回目](神奈川・私立・190校):9人(愛知3 埼玉1 京都1 福島1 兵庫1岐阜1 東京1)
[10人以上] 14校
龍谷大平安[2年ぶり33回目](京都・私立・78校):10人(大阪9 福岡1)
聖光学院[8年連続11回目](福島・私立・81校):11人(兵庫2 大阪2 神奈川1 宮城1 茨城1 栃木1 東京 )
健大高崎[3年ぶり2回目](群馬・私立・67校):11人(千葉2 埼玉2 大阪2 和歌山1 神奈川1 長野1 沖縄2)
大阪桐蔭[3年連続8回目](大阪・私立・180校):11人(福岡4 兵庫3 奈良2 愛知1 広島1)
九州国際大付[3年ぶり5回目](福岡・私立・135校):11人(山口3 京都2 神奈川1 大阪1滋賀1 和歌山1 熊本1)
城北[6年ぶり4回目](熊本・私立・65校):11人(福岡8 大阪2 愛知1)
盛岡大付[2年ぶり8回目](岩手・私立・71校):12人(神奈川2 福島2 東京1 兵庫1 埼玉1 秋田1 宮城1 青森1 茨城1 栃木1)
広陵[4年ぶり21回目](広島・私立・93校)12人(岡山3 大阪3 山口2 兵庫1 三重1 和歌山1 福岡1)
東海大甲府(山梨・私立・37校):13人(神奈川7 東京4 埼玉1 愛知1)
大垣日大[2年連続3回目](岐阜・私立・67校):13人(愛知4 大阪2 滋賀1 福井2 石川2 三重1 兵庫1)
敦賀気比[5年ぶり6回目](福井・私立・30校):13人(京都4 大阪3 三重2 奈良1 和歌山1 石川1 静岡1)
明徳義塾[5年連続16回目](高知・私立・31校):15人(大阪6 兵庫3 奈良2 愛知1 愛媛1 滋賀1 京都1)
二松学舎大付[初](東東京・私立・137校):16人(千葉6 神奈川6 埼玉3 茨城1)
八戸学院光星[2年ぶり7回目](青森・私立・68校):17人(大阪6 兵庫3 和歌山2 奈良1神奈川1 岩手1 宮城1 )
●都道府県別、県外出身者(総数251人 49代表ベンチ入り選手18人の約29% ※前年=198人)
・大阪=54人
・兵庫=26人
・愛知、福岡=16人
・千葉=12人
・東京=10人
・埼玉、京都=9人
・奈良、和歌山=8人
・三重=7人
・栃木、岡山、山口=5人
※ちなみに県外出身者を排出していない代表校の道県は以下の通り。
北海道、山形、山梨、群馬、富山、鳥取、島根、香川、徳島、高知、佐賀、長崎、宮崎
※大阪府出身者は今大会は54人で、49代表ベンチ入り18人の約6%を占める
<取材・文/日刊SPA!高校野球取材班>
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