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iPhone 6で“おサイフケータイ”できるかもしれない3つの可能性

iPhone6

iPhone 6/6 Plus

 ドコモ、au、ソフトバンクは、iPhone 6/6 Plusの予約を12日16時から受付すると発表した。価格や料金プランなどはまだ明らかにされていないが、さっそく予約をしようと検討中の人も多いのではないだろうか。ところが、1つ大きな謎が残っている。今回新たに搭載された近距離無線通信の「NFC」の仕様だ。  iPhone 6/6 Plusでは、クレジットカード決済を可能にする「Apple Pay」と呼ばれる決済サービスが利用できるようになる。そこで、おサイフケータイのようにかざして利用するためにNFCが搭載された。  NFCには、モバイルSuicaなど(ほぼ)日本国内のみで利用されているFeliCaというソニーの独自規格のほかにType A/Bと呼ばれる複数の規格が存在する。それらの上位規格としてNFCがあり、日本の「おサイフケータイ」は、FeliCa、NFC(Type A/BとFeliCaが利用可能)、NFC(Type A/Bのみ利用可能)の3種類が販売されている。  iPhone 6/6 Plusに搭載された「NFC」は、何を指しているのか不明。発表会の会場から届いたハンズオン記事でも「NFCの詳細はわからない」といった内容が報じられている。  週刊アスキーPLUSの記事(http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/255/255837/)では、“ただの見落としかもしれないので断言はできないが”としているものの、NFCに関する設定項目が見当たらないこと、BluetoothやWi-Fiのオンオフをできる画面でNFCのアイコンが見当たらなかったとしている。  Apple Payは10月からアメリカのみで利用開始と発表されているが、それ以外のNFCモバイル決済は使えるのだろうか? 正式な発表をやきもきして待ちつつ、iPhoneで「おサイフケータイ」機能が“将来的に”使えるかもしれない3つの可能性を紹介する。 ◆NFC(FeliCa非搭載)決済は日本でも広まりつつある  NFC(TypeA/B方式)を搭載した「おサイフケータイ」に対応したスマホ利用者向けに、ドコモ、au、ソフトバンクは、「Visa payWave(ビザ ペイウェーブ)」と呼ばれるサービスを展開している。専用アプリをインストールするだけで国内外の加盟店で利用できる。  iPhone 6/6 Plusに搭載されたNFCとセキュリティチップの仕様がわからない以上、Visa payWaveなどNFC決済が利用可能かは不明だが、Androidスマホ同様、NFC(TypeA/B方式)に準拠した仕様であれば、使える可能性はある。日本国内ではまだ一般的ではないものの、今後利用シーンは広がりそうだ。 ◆低コストで汎用性の高いリーダー/ライターが普及  日本国内には、Suica、Edy、nanacoなど、多くのICカードが存在する。さまざまな種類のICカードが登場すると、商店や自販機などのリーダー/ライターの対応は大きな負担となっている。トッパン・フォームズ株式会社の「Thincacloud/シンカクラウド」は、リーダー/ライターによる暗号処理を端末内で処理せず、クラウド処理することでコスト低減を実現した。10万円以上したリーダー/ライターも、今では1万円以下と安価に導入できるようになっている。  クライアント側は必要最小限の機能を持たせる「シンクライアント化」と呼ばれるアプローチで、たとえばType A/Bのみに対応した端末が、サーバーを介してFeliCaデータを読み書きするといったことが可能となる。FeliCaとType A/Bの壁を越えていく試みは今後も加速していく。 ◆FeliCa非搭載スマホでもFeliCaが使える技術  リーダー/ライター側だけでなく、端末側にも変化が起きている。Suicaに代表される高速な処理速度が特徴のFeliCaは、独自のセキュアエレメントと呼ばれるチップを積んでいる。特定のセキュアエレメント(ハードウェア)に依存せず、クラウドを介してソフトウェアで処理する「HCE(Host-based Card Emulation)」が注目されているのだ。  2014年7月17日、18日に開催された「FeliCa Connect 2014」では、ソニーからFeliCa通信をHCEで処理する「HCE-F」について発表され、2020年東京五輪に向けた規格整備に意欲をみせている。今後も、9月29日から10月3日に開催される「NFC Forum」などで、NFC関連の新しい発表があるかもしれない。  また、セキュアエレメントは、端末に内蔵するほかにも、SIMやSDカードに搭載する方式もある。たとえば、ソニーは交通カードシステムにFeliCaが利用されている香港にて、FeliCa非搭載端末に専用のNFC SIMを導入することで同システムを利用できる試験プログラムを行なっている。 **  処理速度やセキュリティなど、多くの課題は残っているものの、FeliCa(ソニー)による新しい試み、そして国内3キャリアを中心としたモバイルNFC協議会など、NFCの利便性は今後も広がりをみせていきそうだ。しかし、iPhoneで利用可能になるかどうか、それは全てAppleの方針次第だ。 <取材・文/林健太>
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