“薄さ”だけではない、進歩するコンドームの機能――荻上チキのアダルトメディア探訪【後編】

【週刊SPA!連載】
★週刊チキーーダ! 飯田泰之・荻上チキのヤバい研究報告書

 久しぶりのシリーズ企画「エロスの夜明け」。コンドームの国内シェア5割を誇るオカモトの探訪だ。昨年度のコンドームの国内出荷数は260万グロス(1グロス=144個)と、ここ10年で2割減。厳しい環境下で、創業80周年のトップメーカーはどう舵をきるのか? 医療生活用品部マーケティング推進室の林知礼氏に聞いた。

荻上チキのアダルトメディア探訪「エロスの夜明け」~オカモト編~◆荻上チキのアダルトメディア探訪「エロスの夜明け」~オカモト編~【後編】

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◆メーカーの役割

チキ:不慣れだった高校生のときに外れたことはあります。付け方の啓蒙は大事ですよね。最初にひっぱっちゃうのは、よくある失敗。

林:しかも、コンドームは薄くなればなるほど、巻径が小さくなるので、手にひっかかりにくくなり、装着が難しくなるのはありますね。

チキ:技術で課題を解決すると、また別の課題も出てくるんですね。薄いタイプのほかに、売れ筋は?

林:精液だまりのない『003リアルフィット』は使用感がよく、伸びてます。付加価値商品としては、ゴム臭を抑えたもの、精子の動きを止める避妊ゼリーを潤滑剤に使ったものもあります。

チキ:市場規模が縮小傾向の中、やはり海外展開でしょうか?

林:単純に中国やインドは日本と桁が違いますよね。日本のコンドームは高価ですが、人口が多いので、お金持ちが1割いたら日本市場に匹敵するマーケットになります。

チキ:啓発事業はいかがですか?

林:「オカモトスクール」というウェブの学校を開設し、コンドームと性感染症についての情報を発信しています。正しい知識とともに、コンドームは淫靡なものではなくパートナーとの間に普通に存在し、必要なときには使うもの。ケガをしたら絆創膏を貼るのと同じような、日用品という認識にしていければと考えています。

<探訪を終えて>

 長い歴史を持つコンドームの歴史。ここまで発展してくるには、多くの先人たちが「ものづくり」への情熱を燃やしたからに他ならない。今では薄さばかりに注目されがちだが、丈夫さ、脱落しにくさ、匂い、殺精子機能など、さまざまな要素が進歩してきていることも、話を聞いて改めて認識した。避妊だけでなく性感染症対策においても重要な役割を持つが、少子化等の理由により、今後も国内出荷数が減少することが予想される。他方で、世界にはまだまだ、コンドームのニーズは多い。独自の進歩をしてきた日本のコンドームが、今後どのような展開を示すのかは興味深い。それと、コンドームに関する丁寧な教育も、まだまだ重要だなと。義務教育で、男女ともにしっかり教えたほうがいいと思うよ。性教育へのタブー感を持ったまま、「女性が輝く社会」もへったくれもないからね。

【林知礼氏】
オカモトスクール(https://www.okamoto-school.com/)は2008年にスタートし、ここ3年は日本大学経済学部の学園祭「三崎祭」でリアルスクールも行っている。今年は11月2・3日に開催

【飯田泰之】
’75年生まれ。エコノミスト、明治大学准教授。「薄さがどうしても注目されるコンドームだけど、僕は装着感最優先のリアルフィット派です」

【荻上チキ】
’81年生まれ。評論家、『シノドス』編集長。「高校生のとき、未成年がコンドームを買うと通報されると思い込み、必死で自販機を探したのはいい思い出」

撮影/落合星文

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