僧侶、医療機器メーカー営業が絶対にやってはいけないこと――職業別「大問題か否か」の境界線
生と死、政治とカネの必要悪、働く意義、恋愛で大切なこと……答えが出ないからこそ時として議論になる巷の命題について、20~40代の働く男女に聞き、さまざまな立場が生み出す感覚のギャップから考えてみた
【職業別】「大問題」「大した問題じゃない」を調べてみた!
人それぞれに大問題か否かの境界があるように、職業や職種ごとにもその「一大事」は異なる。
IT業界では、「仕事の質や量は二の次。残業時間の長さがすべて……上司の評価においては」、「上司は『スキルの問題じゃないんだよ、技術者の人数』と言い、納期ギリギリのプロジェクトをスタッフの頭数を揃えて力ずくで対応しようとするが、現場に言わせれば、『人数の問題じゃないんだよ、計画性が大問題』というのが本音」といった意見が寄せられて。IT業界、何よりも上司の存在が大問題、なのか?
一方、「上司のむちゃぶりや客の面倒な要望なんて瑣末なこと。大問題は足を引っ張り合う同僚女たち!」とは、ブライダル業界で働く男性の談。この業界に憧れる女性は女子力と自意識の高い人が多く、「足の引っ張り合い、陰口は日常茶飯事」だそうで、これは確かに大変そうだ。
興味深いのは、「大した問題」を聞いていくと、業界のしきたりやルールが垣間見えてくること。
医療機器メーカー営業が、「スーツやネクタイのセンスやブランドは問題ではない。大問題は赤い物を身につけていないかどうか」を気にするのは、病院という“白い世界”に“赤”はご法度だから。
僧侶が、「絶対にしてはいけないミスは茶碗を落とすこと。それをやったら即破門」(曹洞宗僧侶)と恐れるのは、なんでも、茶碗はお釈迦様と頭と同じ意味を持つからだとか。
また、よくもあんなところで作業ができるな、と溜め息がでるような送電線建設の仕事だけれど、「高さは問題ではない」らしい。大事なのは、「上がる前にトイレを済ませたかどうか」で、ちなみに、冬場、雪や雨の多い北国での仕事では、弁当よりも合羽、だそうで、「合羽を忘れると、マジで凍死の危険に晒される」。やはり、命がけの仕事なのは間違いない。
さらに風俗業界からは、「客の巨根、短小は小さな問題。むしろ、長年、ピルを飲み続けることにより血管が細くなるので、脳梗塞が心配」という“職業病”や、「2ちゃんに悪口書かれるよりも、ホスラブに悪口書かれるほうが、業界内での評判を落とすので問題」といった独特の事情も聞かれた。
「仕事編」アンケート(https://nikkan-spa.jp/751357)では、仕事において「結果」が重要かを聞いているけれど、ここでも、「もっとも大切なのは、薬(商品)の良しあしよりも、先生を楽しませること」(製薬会社営業)、「記事の内容は問題ではない。思わずクリックしたくなるような思わせぶりなタイトル、ユーザーの嗜好を見抜く関連記事が大事」(ウェブ編集)なんて声があり。
結局のところ、どの業界にでも共通する「大した問題」は、「儲け」……嗚呼、世知辛い。
イラスト/花小金井正幸
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