世界一過酷なサッカー大会!? 関西勢がJFL昇格
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こういったコアなサポーターの応援にFC大阪の森岡茂監督は感謝の言葉を述べた。
「こんな遠いところまで来てくれてありがたいです。本当にサポーターは数じゃないと感じました。人は少なくても声はスゴく届いていましたよ」
サポーターと選手の距離感も地域リーグの魅力のひとつ。ピッチとスタンドが遠くとも、それに反比例するように心は近いのだ。
◆夢を掴むも月曜からは仕事
続いて第2試合はともにJリーグ入りを目指す奈良クラブ対サウルコス福井。バックスタンドには両チームのド派手な横断幕が掲げられ、決戦を盛り上げた。奈良は左右に仁王像、中央に東大寺と大仏のシルエットが描かれた幅数十メートルあろうかというビッグフラッグが、福井はチーム名の由来ともなっている恐竜を推したものが印象的だった。海外チームを真似するのではなく、地域色が全面に出ているのが面白い。スタンドを左右に移動したり、男女交互に声を出すなど、両チームの応援も工夫が凝らされていた。
しかし、肝心の試合はハッキリ明暗が分かれることに。前半33分に福井の選手が退場すると、そこから奈良のゴールラッシュがスタート。福井も終了間際に1点を返し意地を見せたが、終わってみれば5-1で奈良の大勝。3試合全てで勝ち点をとり、ぶっちぎりの成績で優勝を果たした。
苦しい3日間を乗り越え優勝を果たした奈良だが、中村敦監督に話を聞くと、ボールがイレギュラーするグラウンド環境など、まだまだチームには課題が多いと語った。
「(サポーターの応援は)すごくありがたいですし、地域リーグではうちが一番ですよ。関心が高まって市民の方が行政を動かすことでいいグラウンドもつくれると思います。そういう起爆剤になれれば嬉しいですね」
この日ゴールとアシストを決めた小野祐輔選手も「一年でJ3に上がる」と話すなど、早くも上を見ている奈良。“昇格請負人”の異名を持ち、国内外のプロチームで活躍した岡山一成選手もかつて所属していたJリーグへの夢を口にした。
「今日もサポーターが何百人も来てくれましたけど、あとはうちがJFLで優勝してJ3、J2、J1と上がってくだけです。僕もあと何年できるかわかりませんが、現役のうちにJリーガーに戻ります!」
激戦を戦い抜いた奈良の選手たちだが、プロ選手は皆無。岡山選手も「明日にはみんなそれぞれ仕事ですよ」と話した。全国には各地域から都道府県、市町村まで多くのチームが存在するが、メディアにとりあげられプロとして生活する選手はほんの一部だ。しかし、その熱意やサッカーへの愛情はプロに勝るとも劣らない。ぜひ近くのスタジアムに足を運び、その熱さを確かめてほしい。 <取材・文・写真/林バウツキ泰人>ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
3日間で3試合……。野球ではない、サッカーの話だ。11月22日から24日にかけ、“世界一過酷”と呼ばれるサッカー大会がおこなわれた。その大会とは全国地域サッカーリーグ決勝大会決勝ラウンド。全国各地域リーグから勝ち上がってきた4チームが3日連続、総当たり戦でJFL(日本フットボールリーグ)への昇格を賭けて戦う大一番だ。
◆昇格にFC大阪サポーター感泣
今はJリーグで戦うアルビレックス新潟や松本山雅FCといったチームもしのぎを削ったこの大会。第38回目の今回はFC大阪、クラブ・ドラゴンズ(茨城県)、奈良クラブ、サウルコス福井が激突した。
最終日の第1試合はFC大阪対クラブ・ドラゴンズ。Jリーグ入りを目指す大阪と流通経済大学サッカー部を母体とするドラゴンズという対照的なチームカラーもこの大会ならではだ。横一列に並び、学生らしいはつらつとした応援をするドラゴンズと、試合前から入念にラジオ体操をして決戦に備える大阪、両チームの応援スタイルの違いも面白い。そういった違いはピッチでもハッキリと見て取ることができた。試合はマルセイユ・ルーレットやヒール・リフトなどトリッキーなプレーを見せるドラゴンズに対し、大阪が虎視眈々とチャンスを狙う展開。14分には大阪が先制するも、ドラゴンズもそのわずか5分後に同点ゴールを決めるなど、一進一退の攻防が続いた。決勝点が決まったのは終盤にさしかかった76分。大阪の須ノ又諭選手が味方の折り返しを決めると、そのまま2-1で逃げ切り昇格を決めた。
試合後、スタンドには昇格の喜びから感泣する大阪サポーターが続出。遠い千葉県の会場まで駆けつけた気合いは並ではない。
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