刑務所で横行するいじめ。刑務官によるものも
刑務所の中では陰湿ないじめが横行しているという。だが、刑務所でのいじめは、受刑者同士に限ったものではない。職権を乱用した刑務官が、憂さ晴らしのように嫌がらせをすることは日常の光景だという。刑務所の事情に詳しいジャーナリストは呆れ気味にこう言う。
「刑務官は受刑者から『オヤジさん』だの『先生』だのと呼ばれる絶対権力者だから、勘違いする人間も当然出てくる。自分に少しでも逆らう受刑者がいると、徹底的に叩いてやらないと気が済まないんだよ。名古屋刑務所の事件は、それがエスカレートした象徴的な事件だよ」
’01年12月、反抗的態度を取り汚物をまき散らして暴れるという理由から、同刑務所では43歳の受刑者を保護房に収容した。そして、体に付着した汚物を除去するために、消防用ホースで高圧の水を肛門に放水。直腸と肛門に重傷を負わせて受刑者を死亡させた。
「名古屋刑務所では’02年にも保護房内で受刑者を拘束具で締め上げ、内臓破裂で死亡させたり重症を負わせる事件が起きています。職員による受刑者へのいじめが、施設の体質として日常的に蔓延していたと考えるべきでしょう」
昨年、関東の刑務所を出たばかりの吉田誠氏(仮名・52歳)も、刑務官への不満は強い。
「『同房の誰それが昨夜は股間をいじっていた』なんて細かいレベルのことまで刑務官に密告するヤツがいたので、思いっきりシメて脅しつけた。そしたらそいつのことをお気に入りだった刑務官が、俺を目の敵にするようになった」
それからというもの、工場の作業中は吉田氏のそばにびっちり張り付いて監視態勢。少しでもよそ見をしようものなら怒鳴り散らされる毎日が始まったという。
「我慢して作業に戻るか、それとも楯突いて懲罰房に放り込まれるかの二択はしんどい。しかも、舎房にいるときに用事があって刑務官に呼び出しをかけると、今度は無視して来てくれないんだ」
刑務官のいじめは度を過ぎていないか。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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