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【女子大生モデル殺害事件】遺族と事務所の裁判は和解で決着。タレントの安全管理はどうなる?

女子大生モデル殺害事件 ウーマンラッシュアワー・村本大輔のストーカー行為をしていた女子大生が逮捕された事件は世間を賑わせたが、タレントの身辺を脅かし、殺人事件にまで進展したケースがある。4年前、モデル事務所「ヴィズミックモデルエージェンシー」に所属していた朝日なつみさん(当時21歳)が刺殺された女子大生モデル殺人事件だ。

 犯人の丹羽雄治(49=服役中)は性犯罪だけで前科10犯。7度目の服役を終えた8か月後、この事件を起こしたという札付きだった。丹羽は「整体院のイメージ写真を撮影する」という名目でヴィズ社から朝日さんをモデルとして自宅に派遣してもらい、わいせつ行為をしようとして抵抗されたため、ナイフで首を刺したというものだ。

 2012年12月、朝日さんの遺族はヴィズ社を相手取り、同社が安全配慮義務を怠ったために事件に巻き込まれたとして、約1億円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 これに対し、ヴィズ社は「モデルは個人事業主であり、事務所側は安全配慮義務を負わない。仮にクライアントを調査していたとしても、今回のような事件に巻き込まれることは全く予見できなかった」と反論したのだ。

「朝日さんとは“専属契約”を結びながら『安全は自分で確保せよ』と言っているようなもので、その管理体制には首を傾げたくなりますが、業界団体の日本モデルエージェンシー協会に言わせても、『成人モデルにはスタッフは同行しないのが業界基準』というのです。事件はその間隙を突かれたようなものでした」(名古屋地裁詰めの番記者)

 ヴィズ社の青山尚社長は裁判で証人尋問に立ち、業界が抱えるザルのような管理体制の不備を一身に追及されることになった。

裁判官:電話で依頼を受け、ヒアリングやパソコンの検索で得られる情報以外、クライアントについて情報収集しないのか?

青山社長:不審な点がない限り、仕事を受ける。それが前提になっていますので。

裁判官:殺人はともかく、性犯罪に遭う危険性を考えなかったか?

青山社長:そういうケースは今まで一度も聞いたことがありませんでしたので……。クライアントから仕事を受けて、契約を成立させることが仕事なので、付き添いは前提としていなかった。

裁判官:若くてきれいなお嬢さんを預かる立場として、男と1対1になるような現場に派遣する危険性を考えていなかったのか?

青山社長:モデルがそういう対象になること自体、考えていませんでしたので……

 結局、裁判は今年7月まで争われたが、事務所側が遺族の思いを真摯に受け止めて謝罪し、二度と同様の事件が起きないように尽力することを約束し、和解が成立した。

 事務所側は来年から5年間、朝日さんの命日(8月10日)に、自社とモデル業界全体の安全確保の取り組みを報告することも約束。いわば、業界を代表して一石を投じる役目を負い続けるわけだ。全国にモデル事務所は約60社あり、所属しているモデルは数千人近い。それを改革していくのは並大抵ではないといえよう。 〈取材・文/響波速人〉




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