更新日:2016年01月05日 17:44
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利益2億6000万円の個人投資家に聞いた「急落“CP”トレード術」とは?

「7月9日、上海株の急落で日本株も急落したとき、以前から狙っていた株を買い漁ったんです。1500万円ほどを投じて2週間で資産は760万円増加しました」  そう打ち明けるのは、徹底した割安株狙いで累積利益2億6000万円以上というスゴ腕投資家のかぶ1000氏だ。中学生のときに株を始めて30年近いキャリアを誇るかぶ1000氏、その「急落・暴落トレード術」が面白い。 上海◆急落か暴落か。その見極めが肝心 「最初に考えるべきは『急落と暴落は違う』ということ。下落の速度、期間などによる違いです。大きな下げが断続的に2か月、3か月と続いたリーマン・ショックは明らかに暴落。今回の上海株も6月下旬から大きな下げが続いており、暴落だろうと考えています」  では、日本株はどうか。 「今回の日本株は急落だと判断しています。7月8日から9日にかけて、日経平均は2万282円から1万9000円割れ寸前まで下げましたが、すぐに戻しています。中国のように売り取引への規制が入ることもなく一時的な下落で収まりましたから」  しかし、さらに日経平均が下落すれば、暴落になる可能性もあったはず。急落か、暴落か、事後的に判断するのは容易でも、急落の渦中にあるとき、どう判断すればよいのだろう。 ◆ディフェンシブ銘柄の値動きが分水嶺となる 「もうひとつは市場の柱となっているような大型株やディフェンシブ銘柄の動向が判断基準になります。今回でいえばJR東日本やNTTは好例。ごくわずかな下げ幅にとどまっていました。暴落であれば追証などにより景気に左右されないディフェンシブ銘柄も含め全銘柄が売られますが、急落にとどまるのであれば大きく下げないんです」  日経平均と比べると、JR東日本の盤石さは歴然。こうしたディフェンシブ銘柄を見ながら「今回は急落か、暴落か」を判断していけばいいわけだ。 ⇒【グラフ】はコチラ nikkan-spa.jp/?attachment_id=902907 急落“CP”トレード術◆平時は「CP10%以上」を維持し急落に備える  では、「今回は急落!」と判断したかぶ1000氏はどう動いたのか。 「まず気をつけているのが、”CP”。資産に対する現金の比率です。急落時に買いたい銘柄があっても現金がなければ買えない。普段はCP10~15%程度を維持し、絶好のチャンスが訪れるのを待っています」 「資金があればあるだけ買っちゃう」なんていうのはNGだ。急落は株を安価に入手するバーゲンセール。そのときに現金がないなんて愚の骨頂だ。 「銘柄は事前に狙いをつけておきます。私の場合はバリュー株投資を基本にしているので、PERやPBRで見て割安な銘柄に7月8日、9日と指値を入れて待ち構えていました。買えた銘柄は50%くらいですが、グリーンクロスや日本農薬、富士精工、遠藤製作所、共成レンテムなどに入れた指値が約定してくれました」  バーゲンセールだからと飛びつかず、直近安値などを参考に指値を入れて、安値を拾っていくのが、かぶ1000流だ。 「PERやPBRなどが割安水準から脱却してきたら決済してしまいます。今回で言えば遠藤製作所などは購入後、2週間足らずで20%上昇したので、もう売却して40万円ほどの利益になりました。『安く買って・高く売る』のが投資の基本。無謀な信用取引をせずCPを調整して、急落時に投げずに持ちこたえながら、安く買っていけば失敗することはありません」 ◆日銀の買い支えある限り、急落で買い続けるべし!  今後の日本株に対するスタンスは? 「今回、日本株が急落で収まったのは、『下がっても日本銀行の買い支えてくれる』という暗黙の了解があったからでしょう。この了解がある限りは『下がったところを買っていく』 というスタンスで間違いないと思います。ただ、これは日銀の買い支えありきの戦略。今回は1万9000円を維持しましたが、次の急落では1万8000円まで落ちたり、戻りも今回ほど強烈ではなくなったりと、徐々に日銀の影響力は落ちてくるのでは」  現在の金融政策が変わらなければ「急落局面は買い」と考えてよさそうだ。8/4発売号の週刊SPA!では「暴落トレードの極意」を掲載し、世界経済に燻るリスクとトレード方法も紹介。アベノミクス株高に乗り遅れた人に絶好の買い場を与えてくれる急落を楽しみに待とう。 【個人投資家・かぶ1000氏】 中学生のときから株を始めた生粋の株式投資家。バリュー株への投資を得意とし、累積利益は2億6000万円を超える。http://plaza.rakuten.co.jp/kabu1000/ <取材・文/高城 泰>
1975年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。編集プロダクション「ミドルマン」所属。株、FX、仮想通貨など投資関係の記事を幅広く執筆。著書に仮想通貨の入門書『ヤバイお金』(扶桑社)、『FXらくらくトレード新入門』(KADOKAWA)など
週刊SPA!8/11・18合併号(8/4発売)

表紙の人/ 山地まり

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