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「海の酸性化」が進むと、いずれ魚が食べられなくなる!?

宮城県・気仙沼港にあがるサンマたち

宮城県・気仙沼港にあがるサンマたち。素人目にはたくさん獲れているように見えるが、記録的不漁だという

 今年のサンマは不漁が深刻で漁獲量は昨年の半分以下。さらに日本全体を見渡してみても、1984年に年間1282万tの水揚げを記録していたが、30年後の2014年は年間479万tとおよそ3分の1まで減っている。  だが、これは世界的な傾向ではまったくなく、主な漁業国では漁獲量・生産量は増えていたり、ほぼ横ばいだったりするなか、日本だけがここ10年で22%も減少しているという。これについては、さまざまな要因が考えられるが、日本の漁業行政の失敗も指摘されている。  では、世界の水産資源は大丈夫かというと「長期的にみると安心はしていられない」という声も。なんと、今後、人類の活動そのものが魚を減らす可能性があるのだという。JAMSTEC地球環境観測研究開発センターの原田尚美センター長代理は語る。 「大気中に大量の二酸化炭素を輩出してしまったことで海洋酸性化という現象が起きています。二酸化炭素の吸収場所として地球面積の7割を占める海が大きな役割を担う状況にあり、100年や1000年という長期にわたり確実に進行していきます」  しかし、先のことだと高をくくるのは早計。海が酸性化することで貝類や甲殻類などの生態に影響を与えるという事例や研究も出ているのだ。 「カリフォルニア沖のカキの養殖業者で大きな被害が出たという話がありました。カキの稚貝を育てるために汲み上げて使用していた海水が酸性気味だったことで稚貝が育たなかったようです。また、極端に二酸化炭素濃度を高くした海水での飼育実験ではウニの育ちが悪くなるという実験結果も出ています」  最近ではついに魚にも影響を及ぼすという飼育実験結果も出始めたのだという。 「実験の結果、二酸化炭素濃度が極端に高い海水が魚の脳に影響を及ぼす可能性が指摘されています。脳への影響とは、例えば嗅覚が鈍るという影響が出て、外敵の発見が遅れててしまう。種の保存という面でも危険な状況になる可能性をはらんでいるようです」
水揚げされるサンマ

水揚げされるサンマ。漁師たちからは今後も魚を獲り続けられるように、各国の現場レベルでの情報共有も必要との声が上がっていた

 まだ日本沿岸での影響が指摘される状態ではないというが、人類が過剰に二酸化炭素を輩出する生活を続ければ、世界的に海の生態系が乱れ、水産物が食べられなくなる日が来てもおかしくはないのだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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