ストールを巻いたおじさんが蔓延る理由【エッセイスト・犬山紙子】
【週刊SPA!連載 痛男!(イタメン)】
―『負け美女』のオトコ観察絵日記 犬山紙子 ―
いやあ、去年は老けた。こんなに1年で顔が老けるもの?って感じですが、主に左頬がたるみ、そして白髪染めを余儀なくさせられました。男性はいいよなあ……シワとか色気になるし。
女のシワも色気とは思うけど、周りにそう認識してもらえないもの。なんかフランス女風に「私は自分のシワが気に入ってるの。経験を年輪みたいにあらわしていてセクシーじゃない」とか言ってみる手もあるけど、元ニートが経験とか言うのもちゃんちゃらおかしいし。人生やりなおしたい。
そんなわけで老けたらですね、若作りに走るか、老けることに無頓着か、年相応のオシャレを始めるかの三択になると思いますが、異性から一番好感度が高いのが“年相応なオシャレ人”と思われます。で、好感度が一番低いのが、若作り。
美魔女とかネットでフルボッコにされてるのを見ると「実際に遭遇したら綺麗すぎてぐうの音も出なくなるくせに~」とか思いつつ、「まるで20代!」とか「年下男子にデートに誘われちゃった」とかそーゆーアオリにみなさん過剰反応するのだろうなあとも思います。若く見えるだけでは叩かれたりしない。美魔女=若作りでは断じてないけど、「若く見えることをウリにしている」と世間に思われると、こんなにも叩かれるもんだなあと。
男性も同じで、本人が好きでやってるぶんにはなーんの問題もないけど、いかにも「俺若く見えるだろ? な!? な!?」みたいな感じでこられると「べ、別に若く見えることに価値を感じないのだけども……」ってなるんですよね。若さをアピールするためにやたら筋肉の自慢とかフットサルの話を始めたりしてね。ケガして包帯を巻いている人を見たときに「大丈夫ですか?」と聞くのと同じ感じで、「お若いですね」って言わなきゃいけない圧がめんどくさいわけです。
別に若く見える服を着るなという話ではないのですが、「自分は若く見える→老けて見える人より自分のほうが上の立場→自慢やクソバイス」という、若作りをすることによって態度がデカくなる人がいるから、世間から煙たがられるのでしょう……(こういう一部の目立つ人のせいでそのジャンルすべてが悪く見られがちでもあり、多分それが差別)。
“めっちゃ腰の低い美魔女”とか“ホスト風おじさん”とか、絶対好きになる自信あるものな~。「ややっ! 私のようなホスト崩れおじさんに何用でしょう?」とか自虐交じりに言われたりしたら、めっちゃ愛おしいものなあ。それかホストになりきってくれたりね、楽しい人がいいです。
以前、嫌味系の若作りおじさんに遭遇したのですが、その人は異性に若く見えるアピールをするというより、同世代の同性にその若作りで圧をかけておりまして。
「お前もハゲたなーっ」とか、初対面の人たちの前で言ったりするのを見てこっちもヒヤヒヤ。場所はカラオケでしたが、いちいちクリープハイプ歌うたびに同世代おじさんを煽り、調子を合わせないと「なんだよ知らないのかよ~」とか。
けどさ、そんなくせして、Vネックから見える首とデコルテのなんかシワッてしてる感じがすごく気になる。若作りしてなかったら気になんなかったけど、若作りしてるからこそ気になる……。
おじさんがどんどんストールを巻きだす理由が、また一つ解明された夜だったのでした。
【犬山紙子】
エッセイスト。単行本デビュー作『負け美女』(マガジンハウス)で注目を浴びる。著書に『高学歴男はなぜモテないのか』(扶桑社新書)ほか。TVでは『スッキリ!!』『みんなのニュース』ほかでコメンテーターとして活躍中
★痛男!エピソード大募集★
犬山紙子さんにぜひ聞いて欲しいアナタのまわりの「痛男!エピソード」募集します⇒https://nikkan-spa.jp/inquiry
※件名には「痛男!エピソード」と記載してください。なお、いただいたエピソードは、週刊SPA!および日刊SPA!にて採用させていただくことがございます。ご了承ください
※「痛男!」は週刊SPA!にて好評連載中
ストールを巻いたおじさんが蔓延る理由
『SNS盛』 恋と仕事で差をつける秘密のテクニック |
『高学歴男はなぜモテないのか』 すべての男性に伝えたいコミュニケーション力のツボ |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ