ジェシー・ベンチュラの野望――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第68回
ジェシー・ベンチュラは“元プロレスラー”という肩書を最大限に活用してメインストリームのセレブリティーに変身したWWEスーパースターだった。
プロレスラーとしての現役生活は長いような短いような11年間だったが、34歳の若さであっさりとリングを下りたことで、元プロレスラーの俳優、元プロレスラーのDJ、元プロレスラーの政治家といった、いそうでいなかったオリジナルのステータスを手に入れた。
ベンチュラは1951年、ミネソタ州ミネアポリス生まれ。ハイスクールを卒業と同時に海軍特殊部隊に入隊し、19歳のときにベトナム戦争を体験した。政治への強い関心はこの時代に育まれたものとされる。ベトナム戦争終結と同時に22歳でネイビーシールズを除隊し、1974年にプロレスラーとしてデビューした。デビューから引退までずっと“スーパースター”ビリー・グラハムの完全コピー版を演じつづけた。
ハルク・ホーガン、タッグパートナーだったアドリアン・アドニス、デビッド・シュルツらとともにホームリングのAWAからWWEに移籍したのは1984年春。それから1年後に開催された“レッスルマニア1”(1985年3月31日=ニューヨーク、マディソン・スクウェア・ガーデン)ではベンチュラはすでにカラー・コメンテーターとして実況ブースに座っていた。
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