趣味の合わない女性とトークを盛り上げるには?【デートで失敗した30代男性の恋愛相談】
【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
◆趣味の合わない女性とトークを盛り上げるには?
ヤマト(ペンネーム) メーカー勤務 男性 36歳
今、気になる女性(友人の紹介です)がいるのですが、その人とまったく趣味が合いません。
マンガや舞台が好きらしいのですが、私がその話についていけないので、2人で会っても話が盛り上がりません。その女性はお酒が飲めないのですが、私はお酒が好きです。お酒を飲めば、私の口下手も和らぐのですが、一人で酔うわけにもいかず、どんどん気の利いた話ができなくなっていくというありさまです。
今までに2回デートして、私はもう一度デートしたいと思っているのですが、3回目も盛り上がらなかったら、もうおしまいです。女性との話を盛り上げる秘訣などはないでしょうか? こんな私にアドバイスをよろしくお願いします。
◆佐藤優の回答
人間には相性があります。相性が合わない女性と無理をして付き合っても、決してよい結果は生まれません。一ひねりした恋愛小説が得意なフランスに在住しているチェコ人作家のミラン・クンデラは、自分の小説『存在の耐えられない軽さ』で展開される主人公の無理な恋愛についてこう述べています。
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『存在の耐えられない経さ』では、テレザはトマーシュと一緒に生活していますが、彼女の愛にはじぶんの全力を集中することが求められます。すると突然、それに耐えられなくなって、後ろを、彼女がやってきた「下方」のほうを振り返りたくなります。そこで私はこう自問します。そうなれば、彼女にはどういうことが生じるのか? そして、彼女が目眩に捉えられるという、答えをみつけます。(『小説の技法』48頁)
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トマーシュはプラハに住む外科医で、テレザはトマーシュが田舎に出張したときに入った居酒屋のウエイトレスです。直観的に「この男に賭ける」とテレザは決めてプラハのトマーシュの家を訪れて一緒に住むようになります。トマーシュは1回目の結婚に失敗した後は、複数のガールフレンドを作って、誰とも結婚しないつもりでいましたが、押しかけてきたテレザとの結婚を余儀なくされてしまいます。2人は愛し合っているのですが、どうしても体質的にわかり合えないところがあります。その辺のすれ違いをクンデラは見事に描いています。
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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『生き抜くための読書術』 ウクライナ危機、元首相暗殺事件、コロナ社会、貧困etc. 分断社会を打破する書物とは? |
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『小説の技法』 セルバンテス、カフカ、プルーストなど、誰もが知っている名著名作の作者たちとその作品に言及しながら、「小説とは何か」「小説はどうあるべきか」を論じるクンデラ独自の小説論 |
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