2018年の自動車業界はどうなる? 暗い話題は日産やスバルの不正、明るい話題はボルボ初のCOTY
選考委員60名に各25点の持ち点が与えられ、一次選考でノミネートされた10台の中から「今年の1台」と思うものに10点を投票。残り15点を4台に配点する日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)。今年は、ボルボとして初のCOTYとなる「XC60」が選ばれた。完成検査問題が発覚し、日産やスバルがノミネートを辞退するなど、今年の自動車業界はいろいろありました!
西村直人=文 Text by Nishimura Naoto
今年、選考委員60名が選出したCOTYは、ボルボ「XC60」に決まった。獲得点数は294点と直近10年でもっとも低い点数だったが、それだけ魅力的なクルマが多く票が割れたことが要因だ。
振り返れば今年の自動車業界は、暗い話題と明るい話題が渾然一体だった。暗い話題の筆頭は、日産とスバルの「完成検査に係る不適切取扱い」だ。そのため日産は2代目「リーフ」を、スバルは「XV」をノミネートから辞退した。
一方、明るい話題は魅力的な新型車が国内外から発売されたこと。トヨタはまったく新しいクルマのつくり方「TNGA」を100%採用した「カムリ」を導入。米国をはじめ世界100か国以上で販売されている真のグローバルカーだ。ホンダは軽自動車「N-BOX/N-BOXカスタム」の2代目を発表。11月の販売実績は首位の2万992台(全国軽自動車協会連合会)と好調。マツダ「CX-5」(2代目)も売れ行き好調。レクサス「LC」は往年の「ソアラ」を思わせる上品な佇まいで、新旧ファンの心をつかんでいる。走りの評価に厳しい欧州でも人気の高いスズキ「スイフト」も元気がある。
BMW「5シリーズ」はガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド(PHV)を取り揃え、超絶滑らかな乗り味も特徴。ボルボ「XC60」は、強化された運転支援技術で大きく飛躍した。見ても、乗っても官能的なアルファロメオ「ジュリア」、ポップで心地良いシトロエン「C3」、ゴルフ譲りの信頼性があるSUVフォルクスワーゲン「ティグアン」など、輸入車も役者がそろった。
そんな今年のCOTYだが、選考委員8年目の筆者の選考基準は、初年度から一貫して、(1)パーソナルモビリティの素養、(2)30年後も安心できるクルマかどうかだ。(1)の定義は、人ひとりあたりの移動エネルギーが少ないこと。(2)は超高齢社会に対する策で、高齢者が関係する事故を抑制する設計思想があるかだ。
筆者が10点を投じたXC60は、選考基準(2)の理由から推挙した。「’20年までに新しいボルボ車での交通事故による死亡者や重傷者の数をゼロにする」。これはボルボが掲げる安全思想「Vision2020」だが、同車によって実現の可能性が高まった。その理由は、日本の道路環境でも扱いやすい車両寸法(全長は5ナンバーサイズ)と、がんばれば手が届く車両価格(599万円~)によって、日本市場でも普及拡大が見込めるからだ。
また今年、一気に注目度が高まった自律自動運転技術に関してもボルボは積極的。XC60では、全モデルで要素技術である「パイロットアシスト/運転の自動化レベル2」にはじまる先進安全技術群を標準装備。これによりボルボが’21年に導入する「運転の自動化レベル4」の“予行演習”が無理なく行え、結果的に自律自動運転技術の正しい普及が期待できる。設計自由度の高いプラットフォームによる優れた居住性能、ガソリン、ディーゼル、PHVの用意も大きな魅力だ。
今年のCOTYはボルボに決定! 日産もスバルもいない今年のCOTYを振り返る
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