「負け組50代=不幸」とは限らない…40代が目指すべきは出世?それとも現状維持?
―[負け組50代の背中]―
役職定年などで減収したサラリーマンを負け組だと思う人は多い。だが、人材コンサルタントの常見陽平氏は「いわゆる負け組50代=不幸とは限りません」と指摘する。
「役職定年になれば給料は減りますが、それでもまとまった給料はもらえて会社にしがみつくこともできる。勝ち組ではないかもしれませんが、負け組でもないんです」
さらに10年後には、現在負け組認定される状況が勝ち組に変わっている可能性もあるという。
「50代サラリーマンの相対的な給与低下が考えられるからです。企業や社会の構造的な変化によって、給料がこれまでより減るという現象はすでに始まっています」
その一つの証拠が、多くの企業でこれまでの年齢相応の年収や役職が保証されなくなっていること。
「安倍政権が進める同一労働同一賃金の進み方次第では、この傾向はより強くなっていくでしょう。周りの給料が低くなっている状態では、出世せず現状維持の状態でも相対的には“昇給”していることになる。少なくとも減給はしていなくて、負け組とは言いづらい」
常見氏は、むしろ出世を目指すことのリスクにも言及する。
「出世競争のなかで足をすくわれる可能性があります。加えて、出世後も降格になるケースも少なくない。役職によっては降格すると会社に残りづらい状況になることも予想されます。そう考えると、あえて上を目指さない働き方もある。高空ではないが、低空でもない“中空飛行”です」
とはいえ、40代サラリーマンのこれまでの経験やプライドがそれを許さないのでは?
「最強の処世術である“現状分析”をおすすめします。まずは、会社内で出世の道はあるのか、または今いるポジションにしがみつけるかどうか。そして、外から見た自分の状況を把握することも重要。そのために有効なのが、3社くらいの転職サイトに登録してみること。スカウトメールの数や内容によって自分のリアルな価値が痛いくらいわかりますよ。僕はこれを“エア転職”と呼んでいます」
出世か現状維持か、どちらを目指せばいいかはエア転職で診断することが得策だろう。10年後に今の価値観が続いているとは限らないのだ。
【常見陽平氏】
人材コンサルタント。千葉商科大学国際教養学部専任講師。労働、キャリアなどの執筆・講演活動を続ける。近著に『なぜ、残業はなくならないのか』
― 負け組50代の背中 ―
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