地方の国立大が「カネなし・人気なし」の大ピンチ。定員割れ寸前の大学も
「全入時代」を迎えた大学市場だが、現在大きな変化が起きている。かつて国公立大といえば、旧帝大でなくとも地元ではエリート学生が集まる名門の象徴だった。ところが、最近は各地の地方国立大で志願者数が減少しており、一部では名門凋落などと囁かれている。
「今のところ、定員割れは出願者の条件が限られる筑波技術大だけですが、地方国公立大の工学部、看護学部などを中心に実質競争率(受験者数÷合格者数)が1倍台の学部も見受けられます。志願者は多くても前期で合格した学生が後期入試を受けず、倍率が下がることも多いんです」(大学通信常務取締役の安田賢治氏)
その大きな理由としては少子化があるわけだが、それだけが低倍率化に陥った原因ではない。
「国公立大はどこかお役所的で、私大ほど危機感を抱いていませんでした。後でこのままではマズいと気づくわけですが、すでに私大は学生を集めるさまざまな取り組みを実施し、これまで格下に見ていた同じ地域の大学にも学生が流れてしまったんです」(大学ジャーナリストの石渡嶺司氏)
この指摘に対して、地方国立大の現役職員の山田浩次さん(仮名・38歳)は、「まったくその通り」と認めたうえで、大学内部の現状を次のように明かす。
「今はどの私大も広報に力を入れていますが、ウチの大学には最近まで大学をPRするって発想自体がなかった。指定校やスポーツなど推薦枠を増やしましたが、枠を使いきれない年もあるほどです。そのため、オープンキャンパスにも力を入れたつもりでしたが参加高校生のアンケートには、『設備が古い』、『就職サポートに不安を感じた』などダメ出しの嵐。近くの私大と比較され、『○○大のほうがよかった』と書かれていたときはさすがにショックでした」
地方の国立大学、このままでは定員割れ続出か
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