もっともリベラルな小林よしのりの顔が見える『よしりん辻説法』
23年ぶりに『週刊SPA!』での連載を4月3日発売号より再開することになった『ゴーマニズム宣言』。その作者・小林よしのり氏の「現在」を探るべく、連載中の作品を紹介する当企画。初回は『小説幻冬』で連載が復活した『おぼっちゃまくん』で小林氏の「ギャグ漫画家としての顔」を、前回は『SAPIO』連載中の『大東亜論』で小林氏の「歴史物語作家」としての顔を覗いた。そして今回は『FLASH』で連載中の異色作『よしりん辻説法』を紹介するが、そこで見えてくるのは保守である小林氏の「リベラルな顔」だという。
『よしりん辻説法』は2017年に『FLASH』で連載が始まった。ところが、これまでの自画像とは異なり、つるっぱげに2本の触覚のような髪の毛が生えている「よしりん」が、ときにはエロを語る(単行本には袋とじで自らの不倫経験を赤裸々に語る作品も!)という異色作だ。どうしてこのような作品になっていったのだろう?
「やっぱり雑誌によるところが大きいんですよ。『FLASH』は写真誌ですからね。写真誌の読者はもう女の裸しか見ていないわけですから(笑)、そこで描くとなったときにどう描くか、と考えて『自分を丸ハゲにして説法をやる』という形で描こう、と。結局、『漫画でヌードグラビアと闘う!』という挑戦ですよ(笑)」
とはいえ、作中では担当編集者の「りか坊」さんとの掛け合いも楽しく、今まで描かれなかったような小林氏の一面がさらけ出されていく。例えば、作中ではりか坊さんからこんな発言が飛び出す。
「ずっと気になっていたんですが、よしりん先生の奥様は、不倫を容認しているのですか?」
この発言で雷に打たれた小林氏は「不倫は許されん! 経験者は語るんじゃ。わしはもう老いたから終了じゃ」と泣きながら叫ぶ。また、「#MeToo」運動も取り上げるなど、かつての考えを修正していくさまを作品に落とし込んでいるのだ。
「まぁ、やっぱり担当の編集者が女性だから、女性の感覚や今の感覚を取り入れてみようと描いているんですよね。時代がどんどん変わっていくのに、保守じゃなくて保身主義みたいなものになっていったら、やっぱりアナクロニズム(時代錯誤)にハマっていっちゃいますからね。だから、それを避けるために自分の中にあるアナクロニズムを客観的に見て、時代にどのように合わせていくべきかを探るための漫画です。そうしないとやっぱりかつての森友学園の話ではないけど、因習を伝統と勘違いしたような時代感覚がない人々と一緒になってしまう。だから、わしの中ではこれが一番リベラルな漫画になってしまうかもしれない、ということになりますよ(笑)」
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