小林よしのりが「主権を持っていた国民たち」の姿を活写する『大東亜論』のすごみ
23年ぶりに『週刊SPA!』での連載をを4月3日発売号より再開することになった『ゴーマニズム宣言』。その作者・小林よしのり氏の「現在」を探るべく、連載中の作品を紹介する当企画。前回は『小説幻冬』で連載が復活した『おぼっちゃまくん』を紹介したが、今回は『SAPIO』で2012年から連載している『大東亜論』だ。
『大東亜論』は明治から昭和を生き「アジアの巨人」と呼ばれた頭山満、そして彼が率いた政治結社・玄洋社の面々が不平等条約改正や自由民権運動の時代に国士としてどのように生きたのかを描いた物語だ。玄洋社は小林氏の故郷、福岡県を本拠地としていた団体だが、今ではあまり知られていない存在になっている。
「『大東亜論』は歴史の中に埋もれてしまっていた事実を描こうとしています。昔、頭山満は一般国民にもすごい人気があったわけですよ。『もうものすごい大物だ』ということで有名だったし、現実の政治にも大いに影響を与えてしまっている。この玄洋社では、頭山満の配下の者たちが大隈重信の片足を吹っ飛ばすなどのテロまでやって、不平等条約を反故にさせる、ということまでやっているわけだから。そういう国士たちがいた、ということですよね」
だが、玄洋社は第2次世界大戦後、GHQにより危険な存在として解散させられた。戦後もやはり「テロを行った集団」として、白眼視されてきた歴史がある。
「結局、GHQが玄洋社を右翼だと規定して、歴史から消されてしまった。でも、頭山満と親交の深かった中江兆民の名前は現代にも伝わっているでしょ? 『中江兆民が左翼で、頭山満が右翼』みたいなヘンな観念ができあがってしまっているけど、当時は右翼も左翼もないですから。そういう観念自体がないから。『ただただ、国のために国士として生きた』ということでは同志なんですよ」
そして、この玄洋社についてはマイナーな話である、と小林氏は認める。だが、なぜ、それを描かざるを得ないという使命感に駆られているのだろうか?
「明治とはどんな時代だったのか、なぜ頭山満たちのような国士たちがアジア主義者だったのにもかかわらず、日本がアジアを侵略することになってしまったのか。どこで歴史の違いが出てきてしまったのか。そういうことをもっと詳しく描いておきたい。そうしないと、今の日本と韓国・中国の関係は、日本の側はただただ反韓国・反中国一辺倒、そして、向こうも反日になっちゃっている。それが、もともとはどういう感覚だったのか、と。ていうことを全部、解き明かしていかなければいけない、というのはある」
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