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なぜ「AV女優のHIV感染」は発覚から1か月も伏せられていたのか? 謎が残る感染経路

「不安で仕方ない」「なぜ発覚から1か月も伏せられていたのか」各メディアで騒がれたAV女優にHIV感染が発覚という今回の騒動。一体何があったのか―事実を徹底解明した
AV女優[HIV感染]の衝撃

※写真はイメージです(以下、同じ)

業界内に広がる不安や不信感にどう答えたか。発覚までの経緯は!?

 10月22日、AV人権倫理機構から衝撃の発表がなされた。業界プロダクション所属のある女優がHIVに感染していることが判明したというのだ。  これはAV史上、公式に発表された初のケース。当然、懸念されるのは業界内での感染拡大だろう。機構からの発表内容が不十分だったため、AV業界の内外で不信感や不安が広がっている。今回、複数の関係者に取材をすることで、発覚から対策を終えるまでの経緯が明らかになった。 ================= <感染から発表までの経緯> 8月末 抗体・抗原検査で陽性。同日、出演リストを作成 9月前半 精密検査で感染が確定。共演者の半数が陰性と判明 確定翌日 対策チーム立ち上げ。事実解明と公表の検討開始 確定2日後 19人のうち、約9割の共演者のHIV陰性が確定 9月下旬 共演者全員の陰性が確定 10月上旬 業界6団体で数回協議し公表を検討。文書を作成 10月22日 弁護士が確認し、AV人権倫理機構HPにて公表 =================  HIV感染が確認されたのが8月末。2日後には共演者19人のほぼ全員の陰性が確認され、9月下旬には共演者全員が陰性であることが確認されたという。すなわちこの女優(以下、Xさん)はAV撮影で感染したわけではなく、ほかの共演者に感染させていないこともわかったのだ。  Xさんが所属していたAVプロダクション社長は言う。 「Xさんは、今年になって応募で入ってきました。もちろん、HIV感染の自覚症状はなかったそうです。デビュー後、コンドーム着用の作品に12本出演。今回、性病検査の義務づけのある作品に初めて出演が決まったため、検査を行ったところ陽性が出た」  通常HIV検査は、CLIA法、IC法などのスクリーニング検査が行われた後、ウェスタンブロット法などの精密検査が行われ感染が確定される。スクリーニング検査は早いと即日で結果が出るものの、約5%の割合で感染していないのに陽性反応が出る「偽陽性」が含まれる。そのため、1週間後の精密検査結果の確定まで公表できない決まりだ。 「陽性の場合、感染の拡大がないか早急に確認する必要がある。半面、特に情報の管理については人権上、非常にデリケートな問題を孕んでおり、プライバシーについては厳重な管理が必要です」  こう語るのは今回の検査と告知を行い長年エイズ治療に携わってきたK医師だ。スクリーニング検査でXさんに陽性反応が出たその日に、医師の指示の下でプロダクション社長は出演リストを作成。共演者19人の出演前、出演後の検査結果の調査を秘密裏に始めた。  メーカー・制作会社が性病検査の情報を把握していたこともあり、精密検査の結果の確認は迅速に進んだという。 「精密検査の結果が出た翌日に対策チームを立ち上げたのですが、発覚から翌々日には共演者の90%の確認が終了していました。撮影前検査でHIV陰性であれば、共演者からXさんが感染した可能性はゼロに近いといえます。そして、撮影終了から2か月以上たってからの検査で陰性であれば、逆にXさんから共演者への感染の可能性はなく、その共演者も撮影前に感染していた可能性を確実に否定できます」(K医師)  この結果から、対策チームはすぐに公表して女優のプライバシー侵害や混乱を招くようなことはせず、まずは安全性の確定を急ぐという判断を下したと説明する。 「過去に専門医療機関にて数多くの臨床を経験してきましたが、受診からわずか3週間で関係者全員の検査結果を確認し、HIV感染拡大を否定できたのは過去に類を見ず、その迅速性と確実性で他の模範となる理想的対応でした。ただ、残念な課題として業界内に連絡システムが事実上未整備だったことが挙げられます」(同)  なお、感染経路については謎が残る。医師の問診により過去に風俗店での勤務経験はあるが、異性との交際を含め、詳しい感染経路は特定できないという結論に至ったという。Xさんも検査を受けてこなかったことから、「いきなりエイズ」(発症して初めて感染が判明するケース。HIV感染者全体の3割を占める)として発覚してもおかしくなかった。たが、発症前にエイズ拠点病院で治療を開始できたことで、彼女は平均寿命と変わらない水準まで生きられる可能性が高い。今後、長く続く人生の中でXさんの大きな秘密を知るのは在籍プロダクションの関係者をはじめ、ごくわずかだ。 「彼女が引退した後も医師と連携し心のケアを継続しています。エイズに対する誤解や偏見があるなかで、人権を損なわずに生きていくための支援をしている」(前出のプロダクション社長)
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過去にHIV感染がなかった理由とは
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