中国が台湾併合を強行したら沖縄はどうなるか?/佐藤優
― 連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」―
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
★相談者★ひろぴ(ペンネーム) 無職 男性 57歳
中国が台湾の武力解放をあきらめていない報道がなされました。その際、沖縄本島以西の安全が気がかりです。明治政府の宮古・八重山を中国へ引き渡すとした交渉から、現在の在日駐留軍基地の問題など日本政府の対応は沖縄に犠牲を強いています。
中国が台湾解放に際し、戦略上宮古、八重山に侵攻、一帯を封鎖すれば、一義的に自衛隊は対応を行うものの、米軍出動前に軍事的均衡となり、そのまま見捨てられるのではという危惧です。このような事象は絵空事でしょうか。
◆佐藤優の回答
中国が台湾を併合する機会を虎視眈々と狙っていることは間違いありません。さらに面倒なことは、米国にトランプ政権が誕生してから、米中対立に「人種主義」の要素が加わってきたことです。米中の事情に通暁している元外交官の宮家邦彦氏はこう述べています。
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アメリカ国内でも、人種偏見はしばしば問題になりますからね。トランプの側近スタッフだったアフリカ系の女性が暴露本を書いて、トランプを人種差別主義者だと告発し、話題になったこともありました。ただ、その程度でめげるようなトランプではありませんが。
いずれにせよ、差別意識があることは間違いない。おそらく中国もそれをわかったうえで、チャレンジしているんです。彼らは一八四○年のアヘン戦争以来、まさに白人によって蹂躙されてきました。その末裔であり、いまでも唯一中国の影響圏のなかにいるのが米軍なのです。それを排除したいと考えるのは当然でしょう。その意味では、いずれもレイシスト的だといえる。
ただし、アメリカは西太平洋を支配しているのは自分たちだと自負しています。それに対してチャレンジするなら、よほどうまくやらないといけない。ところが中国のやり方は、およそうまいとは言い難い。もともと大陸国家、陸軍国家だから、勝手に線を引いて海域を奪う、島を奪うという発想を繰り返してきた。だから両者は太平洋上でぶつかるわけです。
(『世界史の大逆転』66~67頁)
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中国が台湾併合を強行したら沖縄はどうなるか?
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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