更新日:2023年03月22日 09:31
カーライフ

ゴーンさんの置き土産、新型デイズに試乗。“技術の日産”は死んでいないか?

 日産と言えば、GT-Rでもなくリーフでもなくカルロス・ゴーン。一時期、日産とゴーンさんの対立はどうなるのか?に注目が集まりましたが、世間的な関心はだいぶなくなっております。今はそれよりも高齢者の事故でしょう。そんななか日産から登場した新型デイズは、エンジンの基本設計はルノーで生産は三菱が担う3社連合の結晶。果たして、その出来栄えは? オートクラブMJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

新型デイズに乗ったら“技術の日産”はまだ死んでないと思いました

 ゴーンさんは今どうしてるんだろう……。毎日美人妻とオシャレさんに過ごしてるんだろうか。  あ、美人妻とは面会制限かけられてるのか。  正直、ゴーンさんのことはもうどうでもよくなりつつあるけれど、それでも「ゴーン」と呼び捨てにする気になれないのは、これまでの実績に敬意を抱いてるから! ゴーンさんは就任以来、大きな経営判断ミスは犯してないと思うのです。ただ日本人のココロには武士道精神があるので、稲盛和夫さんみたいに、無報酬で日航を再建した人との差を見ると、「このカネの亡者!」って思ってしまうだけ。  ところで日産の国内販売は、今や軽自動車が約4割になっている。以前はグループ傘下の三菱が開発・生産を行っていたが、燃費不正問題をきっかけに、次期モデルは日産が開発することに(生産は三菱)。それを最終決裁したのはゴーンさんだった。  私は正直、日産に軽が開発できるのか疑問に思っていた。軽自動車は、自動車の中でもウルトラ特殊技能。あの小さい車体の中に全部詰め込んで、しかも安く作らなきゃいけない。それにはノウハウの蓄積が不可欠。これまで軽の開発をやったことがない日産に、本当に作れるのか?

技術の日産は死んでない

 で、その第1作が、この日産デイズ(&三菱eK)だった。  三菱が開発した先代デイズの最大の弱点は、スズキやダイハツ、ホンダの軽に比べると、エンジンの低速トルクが弱かったことだ。おかげでエンジンをブン回さないと加速せず、音はうるさいし燃費も悪くなった。それを隠すために燃費不正をやっちゃったという流れでした。  で、今回日産が開発した新型デイズは、ベースエンジンがなんとルノー製! ルノーが途上国向けに作ってる3気筒800ccエンジンを元に、排気量を660ccにしたんだと! 「マジで!?」と驚愕しましたよ! 日産でもムリかもって思うのに、ルノーに軽のエンジンが作れるわけがなかろう!
オートクラブ

新型デイズは新たに「プロパイロット」と「SOSコール」を採用。「プロパイロット」は高速道路での前車自動追従や車線をキープする機能。「SOSコール」は、ボタンを押すことで緊急時や事故の際、オペレーターに通報できるなどの先進安全技術。収納スペースも豊富です

 ところがこの新型エンジン、実によくできていたのですよ……。  軽自動車は、販売の8割がノンターボ車。ターボなしの小さいエンジンで、どれだけ低速トルクを絞り出せるかで、日常的な走行性能が決まる。先代デイズはこれが弱かった。
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ゴーンさんの無理難題な指令を乗り越えた開発陣
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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