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「絆」で結ばれた地元ヤンキーの掟。一般人には理解できない…

 2019年6月19日。窃盗、傷害などの疑いで実刑判決が確定した小林誠容疑者は自宅から刃物を振りかざし逃走。悪質な犯罪者である小林容疑者の逃走を手助けしたのは、地元の不良仲間だった。一般人にはうかがい知れないヤンキー社会の掟とは? 社会に出ても街から出ようとしない地元密着型ワル、その生態に迫った。
犯罪者

※写真はイメージです

なぜ地元の仲間は小林誠の逃走を助けたのか?

「いいやつです。人思いで優しく、中心になるタイプで親方と呼ばれていました」 「脅されて仕方なく(逃走を)助けるのではなく、困っているなら何とかしなきゃという強い絆があったんだと思う」  6月19日、神奈川県で収監される前に男が逃走する事件が発生。上のコメントは、逃走犯であった小林誠容疑者(43歳)の地元厚木市を取材したワイドショーのものだが、なぜか、彼を悪く言う人間はいなかった。これらのニュースを見て多くの人は驚いたことだろう。  事実、小林容疑者は厚木市で有名な「ワル」だった。まさに札付きと言ってよく、地元では「小林3兄弟」の長男として知られ、中学1年生から盗んだバイクで暴走族に入り、恐喝や暴行などを繰り返すような人物だった。さらに、傷害致死、強姦致傷、監禁致傷、覚せい剤不法所持の前科もある。今回は窃盗団を組織して神奈川県内を荒らし回って逮捕され、窃盗、傷害、覚せい剤取締法違反、建造物侵入の罪で懲役3年8月の実刑判決が確定したばかりだった。  普通ならば、こんな人物を同じ街の出身だからと「擁護」はしないし、むしろ、街の恥だと厳しく批判する。  ところが、である。地元厚木市に住む小林容疑者の知人たちは、メディアの取材に対して、誰も彼もが「あいつは、いいやつ」「なんとか手助けしたい」と発言し、地元ぐるみで悪質な犯罪者であり逃走犯である小林容疑者の逃走を手助けした。それどころか横須賀市内にかくまい、彼のために覚せい剤だけでなく女性まで用意していたとされる。その証拠に、5日間にわたって逃走を手助けした知人男性のひとりは覚せい剤所持で逮捕されている。  なぜ、地元厚木市は、街の厄介者であり、犯罪を繰り返す小林容疑者を受け入れ、あまつさえ助けようとしたのか。何度も刑務所に入るような生活をしながら、小林容疑者は、地元の厚木市から出ていこうとはしなかった。自分を知らない別の街でやり直す気もなければ、街からつまはじきにされることもなかった。  そう、この事件から浮かんでくるのは、一般人にはうかがい知れない「地元ヤンキー」という文化である。ワルたちの独自のルール、あるいは「絆」で結ばれたヤンキーたちの世界が存在することであろう。  事件の舞台となった神奈川県厚木市など、関東には東京や横浜といった都心部を取り囲むように「ヤンキーたちの故郷」というべき都市が数多く存在する。全国的に見ても大都市の周辺には、やはり「ヤンキーの街」がある。ヤンキーカルチャーは「地域密着型」を基本としているのだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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