更新日:2023年04月25日 00:13
エンタメ

爬虫類の専門雑誌『ビバリウムガイド』編集長を直撃「爬虫類に愛情はいりません」

 雑誌の衰退が叫ばれている中、確かな取材力を武器に、売り上げを伸ばす専門誌もある。今回は今注目の専門誌『ビバリウムガイド』を直撃取材。
『ビバリウムガイド』

『ビバリウムガイド』表紙はいま業界一強のレオパが飾っている

業界のことを常に考え「楽しませる」側に回る

『ビバリウムガイド』、通称ビバガは爬虫類の専門雑誌。この雑誌を読んで知識を蓄えたという爬虫類専門店の店長も多く、特集が組まれた爬虫類は全国の店で売れやすくなるなど、業界において大きな影響力を持つ雑誌だ。 「犬や猫を飼うには愛情さえあればいいですが、爬虫類に愛情はいりません。必要なのは知識と技術です」(冨水明編集長)  密輸などといったイメージが先行しがちな爬虫類業界を健全なものにすべく、情報を発信してきた。 「珍しい爬虫類を海外から輸入し、死んだらまた別の新しいものを飼うという切り花的な飼い方から、飼ったら増やしてそれをまた欲しい人に売るというサイクルを生み出そうとしてきました。そのかいあってか10年ほど前からブリーダーズマーケット(日本で生まれた個体のみを販売するもの)が開催されるところまできたんです」  実際に自分で飼ったうえで体験をもとに記事を書くなど、徹底した現場主義を貫いてきた同誌。普遍的に見える爬虫類業界ではあるが、流行や変化もある。 「少し前までは爬虫類を飼うのはマニアくらいで、彼らはとにかく大きなものが好き。ボア・パイソンなどの大蛇系が売れ筋でした。今は初心者が増え、業界はレオパ一強。飼いやすさがダントツなんです。ただ、理解がない人たちも増えています。過度な接触や、食事のあげすぎなどにより、逆に寿命が縮んでいるんです」
『ビバリウムガイド』

写真も豊富だが、情報量の多さも魅力の一つだ。創刊当時に参考にしたのは『週刊プロレス』と『デラべっぴん』とのことで、熱量のこもったアオリや語りがちりばめられている

 そのため、近年は初心者に向けた特集を定期的に組んでいる。 「最近はSNSがつくったブームに雑誌が乗るようになってきてるけど、逆ですよね。踊らせる、楽しませる仕事なのに、踊らされて楽しんでどうするのと常々思っています」  常に仕掛ける側であろうとする姿勢にプロの気概が垣間見える。

▼爬虫類元年?ビバリウム的3大事件

1.「レオパ」の大ブームいまだ衰えず ヒョウモントカゲモドキこと「レオパ」。種類が多く飼いやすい可愛らしいトカゲだ。現在の爬虫類業界はこのレオパ一強の時代となっている。もはや犬・猫・爬虫類ではなく、犬・猫・レオパといっても差し支えないとか 2.ワシントン条約など法律・条例の制約が強化 特定動物の愛玩飼育禁止などにより今まで自治体に申請していれば飼えていた爬虫類が飼えなくなったり、飼っている個体にマイクロチップを埋め込まなくてはいけなくなったりと爬虫類好きに逆風が吹いている 3.笑っていいものやら……マニアの高齢化問題 「老眼がすすんでオス・メスの区別ができない」、「エサのコオロギの動きが速すぎて捕まえられない」、「憧れの大きな爬虫類に殺されそうになる」などのほか、飼育技術が継承されないなどの問題も ●ビバリウムガイド ’97年創刊。発行元はエムピージェー。当初は『月刊アクアライフ』の増刊という形だったがのちに雑誌として独立。年間4冊発行しており、毎号、80%超の実売を誇る。連載ページ以外、ほぼすべての執筆と撮影を富水明編集長が担当 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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