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『マツコの知らない世界』より面白い!? 専門誌のディープな世界

 雑誌の衰退が叫ばれている中、確かな取材力を武器に、売り上げを伸ばす専門誌もある。今回は幅広いジャンルの雑誌に詳しい能町みね子氏に、専門誌や地方誌の魅力や読み方を語ってもらった。
能町みね子氏

能町みね子氏

業界を賑わすディープな専門誌の世界

 日本の雑誌販売額は、月刊誌・週刊誌ともに’97年から20年以上連続でマイナスを記録。休刊・廃刊点数が創刊点数を上回るなど、総銘柄数も右肩下がりを続けている。一方で、最近は異様な盛り上がりを見せている媒体も。圧倒的な情報量で“完売続出”のギター専門誌や、世間を騒がすスクープを連発するアウトロー誌など、共通するのは取り扱う情報がニッチ&ディープなこと。雑誌の研究をライフワークとしている作家の能町みね子氏も、専門誌の情報の質の高さに驚くことが多いとか。 「バラエティ番組の『マツコの知らない世界』に登場する専門家のように、ひとつの世界にどっぷり浸かっている人が紹介するネタって面白いですよね。同じように、専門誌を開くと何年も見識や人脈を積み重ねてきた編集者や記者にしか作れないような特集ばかり。SNSや新興のウェブメディアでは到達できないような、読み応えのある情報にも出合えます」  実際に、編集部全員がギター弾きの『ギター・マガジン』や、編集長が自宅で大量の爬虫類や両生類を飼育している『ビバリウムガイド』など、人気の専門誌は本物の愛好家が手がけていることも。 「私が愛読している『相撲』は、長年見ているベテラン記者さんだからこそ書ける相撲史の研究的な記事や、テレビに映らないような新弟子にスポットが当てられていることもあります。情報の希少価値が高いだけでなく、随所に作り手の愛情が溢れているので、マニアから初心者まで安心してハマれるのも魅力です」  マイナーなジャンルを扱っているからこそ、読者を満足させるためにはヌルい記事は許されない。ゆえに、広告主や体制を恐れない“忖度なし”のコンテンツを堪能できることも専門誌の醍醐味だ。 「『実話ナックルズ』なんて、警察でも反社でも叩くときは叩くし、どこにでも喧嘩を売りますからね。ジャンルは違いますが、あらゆる日用品をテストする批評誌『LDK』も、よく大手メーカーの人気商品をこき下ろしています。最近はハンドソープ『キレイキレイ』の殺菌効果が弱いという検証データを発表して、大きな話題になりました。興味本位で読み始めると、意外と実生活で役立つ情報が手に入ることもあるんです(笑)」
批評誌『LDK』

批評誌『LDK』

 大型書店の雑誌コーナーにはさらにディープな専門誌が潜んでいるという。 「『月刊住職』や『家主と地主』など、思わず読んでみたくなってしまう不思議な雑誌が盛りだくさん。雑誌は衰退したといわれていますが、まだまだ捨てたもんじゃないと思います」
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熱量の高い地方誌も面白い!
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