更新日:2023年05月15日 13:18
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環境活動家の16歳少女、トランプ、プーチン…大物相手にひるまない

世界中で拡大する地球温暖化デモの“震源”

グレタ・トゥンベリさん 12月15日、スペインのマドリードで開催されていたCOP25(第25回国連気候変動枠組条約締約国会議)が、成果らしい成果を上げることなくひっそりと閉幕した。’20年から「パリ協定」が本格始動するが、地球温暖化対策への取り組みに消極的なブラジルやインド、中国などが反発し話し合いは紛糾。会期を2日延長したものの、最後まで足並みが揃わないままお粗末な幕引きとなった。 「がっかりした……。国際社会が気候危機に立ち向かうために熱意を高め、適応し、資金を工面する重要な機会を失った」  COP25閉幕後、国連事務総長を務めるアントニオ・グレーテス氏はこう悔しさを滲ませたが、そんな「大人の事情」が複雑に絡む話し合いの一方で注目されたのが、今年、世界中から脚光を浴びたスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)の動向だった。  CO2の排出量が多い飛行機の利用を拒否している彼女は、COP25に参加するために北米から北大西洋を20日間かけてヨットで横断。会場入りした彼女は 「(参加国は)温室効果ガス削減量を二重カウントしたり、(数値を)海外に移転させたり、ズル賢い方法で抜け道を探している」 「一番危険なのは政治家や企業トップが実際は何もしていないのに、行動していると見せかけていることだ」 「対策を実行していると素晴らしい言葉で言うだけでは、利益はおろか害しかもたらさない」と訴えた。  16歳の高校生とは思えない辛辣な言葉遣いが彼女のスピーチの持ち味だが、世界中の人々を熱狂させる一方で、批判の声も少なくない。環境ジャーナリストの石井孝明氏が説明する。 「グレタさんの言う『気温が2℃上昇すると地球が滅びる』とする仮説は、以前から欧州の環境過激派が主張していることで、目新しいものではありません。ただ、グレタさんはスピーチのなかに必ず『もう時間がない』『私はあなたたちにパニックになってほしい』などといった挑発的なフレーズを忍ばせるなど、聴衆を引き込むアジテーションの手法は目を見張るものがある。  たった一人で活動を始めた16歳の少女に多くの人が心を動かされるのも頷けるが、その一方で、周囲の大人たちが彼女を“環境運動のジャンヌ・ダルク”に仕立て上げているという批判があるのも事実です」  ’18年8月、スウェーデンの首都・ストックホルムにある議会建物前に、学校を休んで一人で座り込みを始めた彼女の活動は、わずか1年余りで瞬く間に世界中に広がった。「フライデーズ・フォー・フューチャー」(FFF)と名前を変えたデモは、今や若者を中心に400万人もの人々を動員するほどのグローバルな社会運動に拡大しているが、そもそも、なぜ彼女は世界を動かすような環境活動家となったのか?  グレタさんは’03年、オペラ歌手の母と俳優の父との間に生まれている。’11年に学校の授業で海洋プラスチックごみのドキュメンタリー映画を観たことをきっかけに疑問を抱き始め、各国政府が気候変動問題に気づきながらも対策を怠ってきたことに失望し、その後、アスペルガー症候群や強迫性障害などに起因する発作が出るようになったという。石井氏が続ける。 「彼女はアスペルガー症候群というハンディを自ら“スーパーパワー”と呼び、むしろ自分の強みに転じている、と説明しています。各国首脳の前でも物おじしないのはそういった経緯があるのかもしれません。  ただ、かねてからグレタさんは『二酸化炭素が(肉眼で)見える』としており、これについてはエセ科学にしか聞こえない……。おそらく、関心を集めるために言っていると思うのですが、このような発言を聞くと、暴力も辞さない派手なパフォーマンスで知られる環境過激派の手法と重なって見えてしまう」
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トランプ大統領にもひるまない
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