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<純烈物語>紅白決定時、秘めていた”◯◯のために”へ入る一人の名前<第27回>

第70回紅白歌合戦リハーサルより

<第27回>買わせるのではなく喜んでお金を使ってもらう 秘めていた“〇〇のために”へ入る一人の名前

「今はご褒美タイムだけど、これから必ずまた何かが起こる。そうなったらみんなはいいことと悪いことの落差にまたドーン!と落ち込むだろうけど、俺は絶対に乗り越えると思わなければやっていけない。その姿勢には、すでになっています」  物事は白だけでも黒だけでもない。芸能界の神様はちゃんといて、頑張ればご褒美をくれる代わりに試練も与える。  でも純烈を始めた頃は、ご褒美はもちろん試練も訪れずまさになーんにもない状態だった。それと比べれば、今の方がずっと刺激的だ。 「だから今(紅白前)は、早く今年(2019年)が終わってほしい。そうすればすべてに一回、句点が打てる。今年は、かわいそうな人たちという判官びいき的な見方がどうしても内包された状態で見られてきました。頑張れ!という声の中に哀れみもある分、それが嬉しくもあり辛くもあった。なんとかプラマイゼロの純烈として活動したいという思いが、僕の中に湧いてきたんです。  今年は応援していただいたことで紅白に出させていただけますけど、来年が本当の勝負です。とにかく令和元年を滞りなく終わらせたい。小田井(涼平)さんもホッとしているんじゃないかな。LiLiCoさんも心配しただろうし、情報番組をやっているからコメントしなくちゃいけなかったところで、家族として苦しい部分が小田井さんにはあったと思う。自分のグループのネガティブな部分を、妻がコメントしなきゃいけない立場でしたからね」  プラマイゼロの状態にリセットした上で、前年以上のプラスを生み出していく。自分たちの頑張りによって上げたハードルへの挑戦である。 「休みもほとんどなくて全力でやってきたのに、さらにまたその上にプラスすることが可能なのか? でも、プロレス界を見ると棚橋弘至さん、オカダ・カズチカさん、内藤哲也さん、そして飯伏(幸太)君ね。こういう人たちは毎年本当にそれをやってのけているじゃないですか。もうこれ以上ののびしろはない、上限だって思えるぐらいの最高な試合を見せて、オフも休まずにプロモーションとかをやっているから業界のトップにずっといられる。  純烈も、ようやくそういう闘いを求められるようになったということです。考えてみれば純烈って、飯伏君っぽいよね。彼もDDTという、インディーと言われる団体からキャリアをスタートさせて路上プロレスで暴れていたのが、新日本の1・4東京ドーム(業界最大級のイベント)のメインへ立つまでになった。やはり重ね合わせちゃいますよね。純烈も、喜んで工場プロレスとかに参加しちゃうんだから」
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10万枚を売ることがどれほど大変か
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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