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楽天モバイルの激安プランは信用できる? 不安要素が多すぎる…

楽天モバイルHPより

 楽天モバイルが4月8日から開始する携帯キャリアサービス。延長を重ね、満を持してのMNO(Mobile Network Operator)参入となったわけだが、現状をみる限りその準備はとてもではないが万全とは思えず、見切り発車感が否めない。  一ユーザーとしてプレサービスにも参加した、スマホサービスに詳しいライターの山野祐介氏にその詳細を聞いた。

課題は山積みの楽天MNO参入

 まずは新サービスの概要とその特色について山野氏に説明してもらった。 「前提知識として、楽天モバイルのような格安SIMは一般的にMVNO(Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれていて、自前で回線を持っていません。auやdocomoのような自分のところで回線を持っている大手キャリア、MNOに回線を借りて、それを又貸しすることで利益を得ているんです。ですから今回の新サービスは楽天モバイルにとって初めてのMNO参入サービスなのですが、プレサービスの実施時点で色々と賛否両論が起こっているというわけです」  当然だが、MNOとなるためには自前で回線を用意するのが必須条件。つまり電波を飛ばす基地局を全国に建設する必要があるのだが、現時点で楽天モバイルの基地局が充分に建設されている都市は、大都市のごく一部のエリアに限られる。他の地方にはサービス開始と並行しながら順次拡充していく予定とのことだが、これをMNOと呼んでいいのかは疑問が残る。  今回の発表された料金プラン「Rakuten Unlimit」は通常2980円のところ、300万人限定で一年間無料で利用できることも、地方の基地局を建設するための時間稼ぎという見方が強い。さらに本プランの抱える問題点を山野氏はこう語った。 「本プランでは、楽天の電波が届かないところは回線がauのネットワークに切り替わります。地方はもちろん、基地局のある東京、大阪、名古屋の3都市でも同様です。プレサービスを利用する限り少し歩くだけで割とすぐに切り替わってしまいます。本プランでは、auの回線を利用する場合のデータ通信料は2GBと制限があるので、普通の使い方をしていたら100%超過してしまうでしょうね。  ちなみにデータ追加料金は1GBで500円です。これでも、auから回線をレンタルしている料金やもろもろの手数料を考えると楽天モバイルは赤字覚悟でこのプランを提供していると思われます。おそらく、まずは利用者を増やすことを念頭に置いているのでしょう」

楽天モバイルの画面

 普段「どの電波をつかんでいるのか?」を意識しながらスマートフォンを利用するユーザーはごくわずかだろう。データ超過によりユーザーにデメリットが生じる以上、どの回線を利用しているかは何らかの仕組みでユーザー側には必ず告知されるはずだ。さらに、山野氏はプレサービスユーザーとして本サービスを利用した経験から次のような問題点を指摘する。 「プレサービスでは、電波を掴んでいても通信ができないということがありました。満員電車で電波がつながらないことって、たまにありませんか? あれと同じ状態がどこであっても起きるということです。すごくストレスが溜まるんですよ。  それと、正直オペレーターの質が非常に低いという印象を受けました。たとえばdocomoなら何か問題があればカスタマーショップへ行き色々と質問した場合でも、きちんと調べたのちに回答をしてくれますが、楽天モバイルでは疑問を持つ人が質問した際にきちんと答えられる体制がまだ整っていないように思えます。発表されたプランの先行きの不透明さに加え、障害への対応力というMNOとしての責任を果たすことができるのか疑問を覚えますね」
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