更新日:2023年05月15日 13:28
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特別な祝日「天皇誕生日」について調べてみた

クリスマス 25日はクリスマス。仕事納めに向けても着々と歩を進める中で、これまで小休止とも言えた23日の祝日『天皇誕生日』の日程が元号改訂に合わせて変更され、平日になってしまったのは世のキッズやサラリーマンたちにとって無視できない痛手だったのではないだろうか。  12月23日が平日となるのは、1988年以来実に31年ぶり。絶妙なタイミングで平日にあたってしまい不運を嘆く方々の慰めになるかは分からないが、後学のために今回少し特殊な祝日、「天皇誕生日」について調査してみた。

<休日は祝日法が絶対>

 そもそも、「天皇誕生日」がどこでどのように規定されているのか。国民の祝日に関する法律、通称、「祝日法」では、2020年の「天皇誕生日」の日程は2月23日と改訂されている。ちなみに祝日である由来は『天皇の誕生日を祝う。』とあり、それ以外の説明は特にない。内閣府のホームページ『国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)の一部改正について』にて、日程変更となる旨が以下のように記載されている。 『天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号。以下「皇室典範特例法」という。)附則第10条により、国民の祝日に関する法律が一部改正されるため、皇室典範特例法の施行の日(平成31年4月30日)の翌日より、天皇誕生日が12月23日から2月23日になります』  法律改訂の根拠となっているのは皇室典範特例法の附則第10条という条文のようだ。ではその条文の内容について調べてみよう。首相官邸のホームページ、『天皇の退位等に関する皇室典範特例法について』を確認するとその詳細について確認できる。 『(3)国民の祝日に関する法律の一部改正(附則第10条)国民の祝日である天皇誕生日を「12月23日」から「2月23日」に改めるものとする』  非常にシンプルではあるが、現天皇の御生誕日が祝日になるのは納得ができる。しかし、12月23日が「天皇誕生日」ではなくなることはわかるが、それが今後も平日になってしまうのだろうか?  なぜなら、平成以前の天皇の誕生日は名前は幾分変えられているものの祝日と規定されていることが多い。たとえば、明治天皇の誕生日である11月3日は文化の日、昭和天皇の誕生日である4月29日は昭和の日として現在も祝日になっている(大正天皇の誕生日は8月31日だが休日にはなっていない)。それでいてなぜ、上皇の誕生日に関しては平日になっているのだろうか。

<二重権威となってしまうことが問題>

 諸説あるようだが、主な理由としては現天皇と上皇による二重権威が関係しているようだ。二重権威について説明すると、退位した平成天皇はご公務からは一線を退かれたとはいえ、上皇としてご在命している。もし誕生日を祝日にすれば、天皇と同じ権威をもつ存在という権威付けが生じる可能性がある。この問題点は権威の分裂が生じ、最も高次の法律である、憲法に規定された「国民統合の象徴」の機能が低下する恐れが発生することだろう。  それに加え、存命中の退位というのは憲法や皇室典範でも想定されていないことであり、上皇に関する規定が法律で明文化されていないことも、この問題を俎上に載せずらい要因の一つだ。そのため、来年、2020年の12月23日を祝日とするかどうかは、「12月23日が祝日」の恩恵を受けてきた平成生まれの方にかかっているような気もしないではない。  来年開催の東京五輪に象徴されるような『令和』という新たな時代の始まりに胸を高鳴らせるのもいいが、年の暮れ・クリスマス前の素晴らしい祝日だった12月23日の「天皇誕生日」があった『平成』という時代が、懐かしく感じたクリスマスだった。 <文/山田星人>
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